「4番目の被害者」は騎乗停止のオマケつき! 超人気薄で激走のパートナーが繰り返した悪癖…騎乗した騎手に同情の声も

シュネルマイスター 撮影:Ruriko.I

 約2年半に及ぶ改修工事が終了し、902日ぶりに再開した京都競馬場。記念すべき最初の重賞となったのが、安田記念(G1)の前哨戦でもあるマイラーズC(G2)だ。

 トップクラスのマイラー15頭が出走した注目のレースを制したのは、C.ルメール騎手が騎乗した1番人気シュネルマイスター。直線で11番手の後方から鬼脚を披露して、前を行く10頭を撫で切った。

 上がり3ハロン32秒9の切れは、当然ながら出走メンバーで最速だ。近走は惜敗が続いていたものの、一昨年の毎日王冠(G2)以来となる久々の勝利で完全復活をアピール。2着に敗れた昨年のリベンジに向けて態勢は整った。

 また、目の覚めるような直線一気を決めた勝ち馬に敗れたとはいえ、2着に入ったガイアフォース、3着のソウルラッシュも本番で侮れない強敵となるだろう。

 ガイアフォースは、前走で手綱を取ったルメール騎手がシュネルマイスター、2走前まで主戦を任されていた松山弘平騎手がソウルラッシュに騎乗する因縁もあったが、大本命に推されながら5着と人気を裏切ったアメリカジョッキークラブC(G2)からの巻き返しに成功。芝2200mから一気に600mの距離短縮も問題なかっただけに、マイルの新星としても期待できそうだ。

酒井学騎手

 その一方、11番人気で4着に食い込んだシャイニーロックの大健闘も目を引いた。初コンビの酒井学騎手が、絶妙なマイペースに落とし込み、3着馬とアタマ差と十分な見せ場を作った。開幕週でスピードの出やすかった馬場が大きく味方したとはいえ、シャイニーロックの馬券を購入していたファンにとっては、手に汗握る展開だったのではないか。

 ただ、レース後の酒井騎手が「馬はよく頑張ってくれました。左に張る癖のある馬で、直線で2頭に迷惑をかけてしまいました。良馬場で、自分のペースで行ければ、これくらいは走れると思います」とコメントしたように、ゴール前で外側に斜行したシャイニーロックとソウルラッシュの間を進んでいたキングエルメスとビーアストニッシドの進路が狭くなる不利が発生。その結果、酒井騎手に5月6日から7日まで2日間の騎乗停止処分が下された。

 人気薄の大穴で存在感を見せながら、味噌をつけてしまった酒井騎手の騎乗停止処分だが、こちらについてはネットの掲示板やSNSなどで、一部のファンから酒井騎手に同情する意見も見られた。

「4番目の被害者」は騎乗停止のオマケつき!

「どちらかというと私も今回の酒井騎手は、少し運が悪かったのではないかと感じたひとりです。酒井騎手が左鞭を入れていたことから分かるように、斜行する馬の軌道修正をする努力もしていました。

それでも斜行してしまった訳ですから、騎手側で制御可能だったのかとなると疑問が残ります。というのもシャイニーロックの斜行は、これが初めてではなく、過去にも何度か斜行歴のある馬だったからです」(競馬記者)

 記者の指摘した通り、シャイニーロックに騎乗した騎手が斜行によって処分を下されたのは、マイラーズCが初めてではなかった。確認してみたところ、富田暁騎手が過怠金3万円を1度、団野大成騎手が過怠金1万円を2度で3度。そして今回、酒井騎手が過怠金3万円で4度目という訳である。

 しかし、酒井騎手が他の騎手と異なるのは、さらに「騎乗停止2日間というオマケ」までついてしまったことだ。元々悪癖のある馬に騎乗していた酒井騎手の場合、結果的にアクシデントの当事者となってしまったものの、見方によっては“被害者”だったといえるのかもしれない。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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