「完全燃焼へ」シルヴァーソニックの逆襲!? 昨年はタイトルホルダーから約2馬身差の“2位入線”
もう間もなくゲートが開かれる天皇賞・春(G1)。29日12時の時点ではタイトルホルダーが単勝オッズ1倍台という圧倒的な支持を集めている。
前哨戦の日経賞(G2)で59キロを背負いながら8馬身差で圧勝している上、有利とされる内目の2枠3番という絶好枠を引き当てた。そもそもこのレースは前年、阪神開催だったとはいえ7馬身差で大楽勝しているのだから人気が集中するのは当然だろう。
ただ、昨年の天皇賞・春に出走していた馬の中で、ある意味、まだタイトルホルダーとは勝負付けが済んでいないといえる馬もいる。古豪のシルヴァーソニック(牡7歳、栗東・池江泰寿厩舎)である。
阪神大賞典(G2)3着をステップにダークホース的な存在で臨んだ昨年だったが、スタート直後にバランスを崩して鞍上の川田将雅騎手が落馬するというまさかのアクシデントに見舞われ、無念の競走中止となってしまった。
ただ、シルヴァーソニックはその後も走り続け、カラ馬のままレースに参加。道中は川田騎手がそのまま跨っているのかと錯覚するほどコースロスのない見事な立ち回りを見せると、最後の直線でもタイトルホルダーに食い下がるなど踏ん張りを見せ、同馬から約2馬身差の“2位入線”で完走を果たしている。
「シルヴァーソニックはその後、背面跳びのような格好で外ラチを飛び越えて転倒。一瞬、ピクリとも動かなくなったことで最悪のケースを想像したファンもいたかもしれませんが、スタート直後に落馬した川田騎手とともに人馬異常なしだったのが不幸中の幸いでした。
思わぬアクシデントで不完全燃焼に終わってしまったシルヴァーソニックですが、この一件で厩舎にファンレターが届くなど、さらに人気が出ることになったようです」(競馬誌ライター)
苦い経験もしたシルヴァーソニックだが、7ヶ月の休養を挟んでターフにカムバック。今回の天皇賞・春でもコンビを組むD.レーン騎手を背にステイヤーズS(G2)を制して初の重賞タイトルを獲得した。
これに関しては元JRA騎手の安藤勝己氏もTwitterで「ここまでの立て直しは大変やったと思う」「(かつて管理していた)オルフェーヴル(の)産駒やし、厩舎サイドの喜びもひとしおでしょ」といった、陣営をねぎらうようなツイートを発信している。
またレーン騎手とのコンビは、続くサウジアラビアのレッドシーターフHC(G3)も制するなど、ここまで2戦2勝と相性抜群だ。同騎手もJRAの芝2500m以上の重賞では、これまで連対率100%という成績を誇っている。最良のパートナーと巡り合えたシルヴァーソニックに昨年のリベンジを期待したいところだ。
「ただ、やはり考慮しなくてはならないのが、カラ馬で完走した昨年の天皇賞・春から、今年は斤量が実質58キロ増えることでしょうね(笑)。
また管理する池江師は『雨は一滴も降ってほしくない』ともこぼしており、良馬場での開催を希望しているようでした。予報では土曜夜から当日朝にかけて京都競馬場周辺にまとまった雨が降るようなので、それが当日の馬場状態にどう影響するかでしょうね」(同)
また枠順も昨年落馬したときと同じ、外から2番目の枠を引き当ててしまったのもやや気がかりな点といえるか。まずは悲劇を繰り返さないよう、しっかりとスタートを決めたい。