【オークス】D.レーン「レースに参加できませんでした」に武豊も関係…万馬券演出の斎藤新は「ありがとう、ドゥーラ」、トップジョッキーの乗り替わりで分かれた両者の明暗

ドゥーラ 撮影:Ruriko.I

 21日に東京競馬場で行われたオークス(G1)は、2着ハーパーに6馬身差をつけたリバティアイランドが圧巻V。同世代の牝馬にもはや敵なしといえる楽勝を決めただけに、秋の三冠達成にほぼ確定ムードすらある。

 凄まじい活躍を見せるドゥラメンテ産駒は、リバティアイランドのオークス勝利でついに大台に乗るG1・10勝目に到達。先日のヴィクトリアマイル(G1)でも昨年の二冠牝馬スターズオンアースが3着、NHKマイルC(G1)をシャンパンカラーが制したように、その勢いはとどまることを知らない。存命なら父キングカメハメハに次ぐ名種牡馬として一時代を築いていたかもしれないだけに、まだまだ働き盛りの9歳という若さで早逝してしまったことは、将来の競馬界にとって大きな損失となるだろう。

 そして今年のオークスで単勝万馬券の15番人気ながら、3着に食い込んで3連複と3連単を高配当に跳ね上げた、ドゥーラ(牝3、栗東・高橋康之厩舎)もまたドゥラメンテの産駒だった。本馬は後にホープフルS(G1)を優勝するドゥラエレーデを未勝利戦で撃破しただけでなく、札幌2歳S(G3)も快勝していた実力馬。それほどの馬が15番人気まで急落していたのだから、本馬の実力を信じていたファンからすれば、“オイシイ配当”だったに違いない。

 勿論、これには伏線があった。

 本馬は昨年の阪神ジュベナイルF(G1)を最後に、デビューから4戦続けて手綱を取った斎藤新騎手から戸崎圭太騎手へと乗り替わったのだが、戸崎騎手とのコンビで1番人気に支持されたチューリップ賞(G2)で15着。コンビを継続した本番の桜花賞(G1)でも後方のまま見せ場もなく14着と、2戦連続で惨敗を喫していたのだ。

 戸崎騎手自身も悔いの残る騎乗だったことは間違いないが、オークスではミッキーゴージャスへの騎乗が発表された。再び斎藤騎手の元へと戻ってきただけに、かつて3年連続で全国リーディングを獲得したベテランが捨てた馬に、若手騎手が乗るだけと考えたファンも少なくなかったのではないか。

 しかし、今回のドゥーラは最終追い切りに騎乗した斎藤騎手が確かな復調を感じていたように闘志が戻っていた。上がり3ハロン最速となる34秒0をマークした勝ち馬は別格とはいえ、ドゥーラもこれに次ぐ2位の34秒1の末脚で追い込んだ。

 レース後のコメントで「次につながる競馬だった」と振り返った斎藤騎手は、自身のTwitterでも「ありがとう、ドゥーラ。この悔しさをバネに、もっと良いエスコートしてあげるから一緒に頑張ろうね」と決意を表明。戸崎騎手が騎乗したミッキーゴージャスが14着に敗れたことを考えると、結果的にこの乗り替わりは大成功だったといえる。

コナコースト 撮影:Ruriko.I

 また、同じく乗り替わりが明暗を分けたといえそうなのは、D.レーン騎手とのコンビで敗れたコナコースト(牝3、栗東・清水久詞厩舎)だ。

 本馬もドゥーラと同じくデビューから4戦続けて手綱を任されていたのが、売り出し中の若手、鮫島克駿騎手である。新馬戦を快勝し、その後の3戦はあと一歩のところで2着が続いたものの、6番人気だった前走の桜花賞では勝利寸前の大健闘。持ち前の先行力を生かした積極策で人気以上の着順にエスコートしていた。本人も「1着しか評価されないと思っていますし、満足はしていません」と悔しさを隠しきれない結果に終わったが、次走オークスでの巻き返しに燃えていたはずだ。

 だが、陣営は新たにレーン騎手を鞍上に迎えることを発表。この件について清水久調教師も「鮫島駿騎手が下手なわけじゃありませんが、そこは勝負の世界」と気遣ったものの、G1獲りのチャンスがスルリと逃げた若手にとって、残酷にも思える降板だったことは間違いない。

 しかも、“G1勝利請負人”として期待されたレーン騎手だが、「スタートして隣の馬とぶつかってしまい、位置が後ろになってしまいました。それで、なかなかレースに参加できませんでした」と振り返ったように、スタート直後に外から武豊騎手のソーダズリングにぶつけられる不利が響いて7着。積極策で好位に付ける競馬で結果を残してきたコナコーストには、厳しい展開となってしまった。

 思わぬアクシデントが影響したとはいえ、この結果に対しネットの掲示板やSNSでは一部のファンから「乗り替わった意味あるの?」「これなら克駿で見たかった」など、鮫島駿騎手に同情的な意見も出た。少なくとも今年のオークスに関しては、必ずしも実績で上の騎手への騎乗依頼が正解と言い切れない結末だったともいえるのではないか。

 清水久調教師が「勝負の世界」と説明したように、実績で上回る騎手が優先されることは日常茶飯事。斎藤騎手にしても鮫島駿騎手にしても、陣営からの信頼を手に入れるには自らの手腕で実力を証明するしかない。その積み重ねがいつか大輪を咲かす勝利へと繋がっていくだろう。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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