日本ダービー(G1)横山武史惜敗に「よそゆきの乗り方」が関係!? 元JRA田原成貴氏が持論展開
28日、東京競馬場で行われた牡馬クラシック第2弾、日本ダービー(G1)は、4着ベラジオオペラまでタイム差なしの大混戦。これを制したのは、皐月賞(G1)2着からの巻き返しを期した4番人気のタスティエーラ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)だった。
「勝てたのはポジションが大きく関係していて、馬のおかげで上手くいきました」
レース後、そうコメントしたのはタスティエーラの鞍上を務めたD.レーン騎手だ。ダービーとしてはかなりスローな流れになった一戦で確保したポジションは外目の4番手。上位4頭の中では最も前目につけての粘り込みで、結果的にテンからやや押してポジションを取りに行く策が吉と出た。
一方で、勝ち馬のすぐ後ろの内目、6番手を追走していたのは1番人気に推されたソールオリエンス(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)である。
4角17番手から直線大外一気の末脚で差し切った皐月賞から一転、この日は先行集団を前に見る好位から勝機をうかがった。
「スタートが決まれば中団と思っていた」
レース後、ソールオリエンスを管理する手塚師が『スポーツニッポン』の取材にそう明かしたように、道中の位置取りはプラン通りだったといえるだろう。もし皐月賞と同じ後方からの競馬を選択していれば、たとえ上がり32秒台の末脚を繰り出したとしても、物理的に2着もなかったはずだ。
実際に元JRA騎手の安藤勝己氏がレース後に自身のTwitterを更新し、ソールオリエンスの位置取りについて「悪くなかった」と見解を述べている。
一方で、安藤氏とはやや異なる見解を示したのが、こちらも元JRA騎手で現在は『東京スポーツ』に所属する田原成貴氏である。
この日は『東スポ競馬』サイト上で「5時間ぶっ通し!東スポ競馬LIVE『ダービー特番』」と銘打ち、ライブ配信が行われた。田原氏は途中から生出演し、有力各馬を中心にパドックや返し馬の解説も担当した。
ちなみに田原氏の買い目は本命ソールオリエンスを1着に固定した三連単フォーメーション。同馬の二冠達成を信じて疑わず、発走直前には「(横山)武史君、勝つチャンスは十分ですよ」「気負わないで」「よそゆきの乗り方しちゃだめだよー」と、若き鞍上にエールを送っていた。
結果は皐月賞から打って変わって道中6番手の積極策を見せ、悔しいクビ差負け。これを見届けた田原氏は、レース後に横山武騎手の騎乗に疑問符を投げかける場面もあった。
横山武史騎手惜敗に「よそゆきの乗り方」が関係!?
「ソールオリエンスは前に行った分、(レースを見ていて)ちょっと嫌だった。前進気勢があっても抑えてほしかった」と田原氏。結果的に皐月賞に比べると明らかに位置を取りに行ったのが裏目に出たと分析した。また「やっぱりよそゆきとの乗り方というか、安全性の(安全な)乗り方をしたね……」とも発言。同騎手の騎乗が普段とはやや違う“ダービー仕様”にその目には映ったようだった。
詳しくは本動画を確認していただきたいが、田原氏は末脚の温存を風船にたとえて、「(道中で脚を)使ったら使った分だけ(空気が風船から)出ちゃうから」と表現。これは横山武騎手の勝ちたい気持ちが強すぎたがため、道中でほんの少し脚を余計に使った分、空気(ソールオリエンスの末脚)が抜け出てしまい、ゴール前で最後の切れ味を削ぐ結果につながったということだろう。
現役時代に数々の名騎乗を披露した田原氏だからこそ、24歳の若武者が見せたほんの少しの“力み”“焦り”を見逃さなかったのかもしれない。
2年前のエフフォーリアに続き1番人気馬でダービーを勝てなかった横山武騎手。レース後、ソールオリエンスについて「馬自体は古馬になってからの馬だと思います」とコメントを残したが、逃した魚はあまりにも大きかった。