武豊は「太鼓判」もジャックドールは黄色信号!? 「30年間」勝ち馬が現れない鬼門の条件とは
6月4日に行われる安田記念(G1)。白毛初のG1馬であるソダシやヴィクトリアマイル(G1)覇者のソングラインなど、重賞覇者が多数揃ったハイレベルの戦いとなりそうだ。
そんな中、上位の人気を集めそうなのが、前走の大阪杯(G1)で念願のG1を制したジャックドール(牡5、栗東・藤岡健一厩舎)だろう。
同馬の父モーリスは、4連勝で安田記念、マイルCS(G1)を制しただけでなく、そのままの勢いで香港G1も連勝した世界的なマイラーである。
ただ、ジャックドールはデビュー以来一貫して芝の2000mを使ってきた。従って、マイルは今回が初挑戦である。
未知数な距離に関しても感触は悪くない。管理する藤岡調教師は『スポーツニッポン』の取材に対し「体形的なものもそうだし、血統的な面も含め、もともとマイルは合うだろうと。スピード能力も高い」と話し、G1勝利へ導いた鞍上の武豊騎手も「安田記念はどうですか」と提案するなど、騎手・調教師ともに初めての距離でも勝利への自信は揺るがないようだ。
ただ、懸念がまったくないのかとなると、そうとも言い切れない。
「30年間」勝ち馬が現れない鬼門の条件とは
なぜなら安田記念は初マイルの馬にとって鬼門となっているからである。直近の勝ち馬が1992年のヤマニンゼファーだったように30年間勝ち馬が出ていない。
過去10年でも中距離から参戦してきた馬は、安田記念を勝ち切ることができておらず、これはジャックドールにとっても他人事ではないだろう。
中でも、2018年に大阪杯を制し、初マイルで安田記念に挑戦したスワーヴリチャードは今回のジャックドールと重なる。本馬も大阪杯でG1初制覇を果たし、安田記念で1番人気に支持されたが、結果はモズアスコットの3着に敗れ、涙を飲んでいる。
データ的にも過去10年大阪杯から出走してきた馬は(0-1-2-13)で、前述のスワーヴリチャードや、ショウナンマイティが好走したものの、勝ち切るまでには至っていない。
中距離馬は、後一歩までは迫りながらも初マイルの安田記念で勝ち切ることができていないのはなぜだろうか。
その一因としてこのレースが高速馬場になりやすいということが影響している。1分31秒台の速い決着となることも珍しくない。そのため、スタミナで優る中距離タイプよりも、スピードに長けたスプリンターが好走しやすくなるのかもしれない。
グランアレグリアやロードカナロア、古くはブラックホークなどもスプリントG1勝ちの実績を持っていただけに、ジャックドールは世界的マイラーだった父モーリスの血が頼り。後は武豊騎手の手腕に託すのみだ。