「またマイルで頑張りたい」武豊の言葉に別れの予感…ジェニュイン、ダイワメジャー、カンパニーが歩んだローテも急浮上? 「父子の絆」でコンビ再結成もあるか
4日、東京競馬場で行われた春のマイル王決定戦・安田記念(G1)を優勝したのは、4番人気のソングライン。2009年のウオッカ以来となる、同年のヴィクトリアマイル(G1)と安田記念の連勝を決め、昨年に続く同レース連覇も達成した。
そんな短距離の猛者たちが顔を揃えた一戦で5着に入ったのが、武豊騎手とのコンビで注目を集めたジャックドール(牡5、栗東・藤岡健一厩舎)だ。
本馬はデビュー戦から一貫して、芝2000mを使われ続けた中距離のスペシャリスト。約2年4ヶ月で14戦した“主戦場”から初めてマイルに転戦した結果を考えると、一定の成果は見られたといえる。
これには手綱を任された武豊騎手も「無謀な挑戦ではなかったと思いますし、またマイルで頑張りたいです」と振り返れば、管理する藤岡調教師も「決してマイルが駄目ではないと思います」「選択肢は広がりました」と好感触だった。陣営のコメントから察すれば、今秋の大目標は昨年も挑戦した天皇賞・秋(G1)や香港国際競走の香港C(G1)に置きつつ、状況次第でマイルCS(G1)や香港マイル(G1)挑戦も視野に入るということだろう。
陣営としても、大阪杯(G1)を好騎乗で勝利に導き、初のG1タイトルをもたらした武豊騎手に対する評価は高く、安田記念への参戦も同騎手の進言が背中を押したともいわれている。
それだけに、できることならコンビを継続したまま、秋のG1戦線に殴り込みを掛けたいところだが、その前には武豊騎手のお手馬ドウデュースの存在が立ちはだかりそうだ。
昨年、レジェンドに6つ目のダービージョッキーの栄誉を獲得させてくれたパートナーへの信頼は絶大であり、昨秋には凱旋門賞(仏G1)への挑戦も実現した。本馬を所有するキーファーズと武豊騎手との蜜月関係は周知の事実であり、春は全休して秋は国内に専念するという発表をしているため、当然ながら天皇賞・秋やジャパンC(G1)、有馬記念(G1)が次走の候補としてピックアップされるはずである。
ただ、そうなるとジャックドールとの間で鞍上問題に発展することは避けられず、実績で上回るドウデュースに武豊騎手が騎乗する可能性が高い。これは陣営にとって非常に頭の痛い問題となる。
「父子の絆」でコンビ再結成もあるか…
「マイル戦に適性を感じられたジャックドールといえど、芝2000mに拘っていた陣営が天皇賞・秋を諦めることはないでしょう。勿論、武豊騎手の騎乗が可能ならコンビ継続もあると思われますが、もしドウデュースが出走するようなら見込み薄です。
となれば一戦限りの代打を起用して、次走から再び武豊騎手との再コンビというプランも出て来そうです。コロナ禍も落ち着いて秋には短期免許で来日する外国人騎手も多数いるはずですから、案外あっさり決まるかもしれないですね」(競馬記者)
芝2000mのG1を制した馬が、マイルに転戦したケースは過去にも例がある。天皇賞・秋からマイルCSというローテーションなら、古くはジェニュイン、少し前ならダイワメジャーやカンパニー、近年ではイスラボニータらが選択している。マイル戦が選択肢に加わった今のジャックドールについても同じことがいえるかもしれない。
まだ先の話のため、現時点で具体的な情報が出されていないのも当然だが、仮に天皇賞・秋などで、ドウデュースとジャックドールがバッティングした場合、前任者である藤岡佑介騎手が再登板する可能性もゼロとは言えない。何しろ藤岡調教師と藤岡佑騎手は親子。武豊騎手への乗り替わりについても、父として思うところがあったはずだ。
いずれにしても中距離王ジャックドールのマイル挑戦は、秋のG1戦線の盛り上げに一役買ってくれた雰囲気がある。今後の陣営の判断に注目したい。