C.ルメール騎手レイデオロと共に「悲願」のダービー制覇へ……フランスから日本に来た名手のあまりにも数奇な運命が結ぶ「8年越し」のドラマ
フランスですべてを手に入れた名手が、昨年の「8㎝」を埋めに行く。これもまた競馬を取り巻く大きな「運命」の流れなのだろうか……。
28日に東京競馬場で開催される今年の日本ダービー(G1)。史上稀にみる大混戦として注目を集めているが、その中でも最も大きな運命の流れの中にいるのは、悲願のダービー制覇が懸かる藤沢和雄厩舎のレイデオロと主戦のC.ルメール騎手なのかもしれない。
先週、ソウルスターリングがオークスを制覇した際、ルメール騎手がかつて本馬の母スタセリタでフランスのオークスを勝っていたことが話題となった。
フランスのトップジョッキーとして活躍していたルメール騎手の手によって2009年の3歳牝馬の頂点に立ったスタセリタの娘を、今度は8年後の2017年にJRAのトップジョッキーとして日本で活躍する同じ騎手が再び世代の頂点に導くというのは、ブラッドスポーツと呼ばれる競馬ならではのドラマだ。
しかし、この壮大なドラマは、ここでエンディングとなるわけではないのかもしれない。
ソウルスターリングの母スタセリタが仏オークスを制した2009年。実は、ルメール騎手はキャリア初となる仏ダービー(G1)制覇も成し遂げている。つまり初のダービー制覇と同時に、同一年のオークスとダービーを「ダブル制覇」する歴史的快挙も成し遂げているというわけだ。
それも仏ダービー馬となったルアーヴルは、スタセリタと同じジャン=クロード・ルジェ調教師の管理馬。つまりこのケースは今年のソウルスターリングとレイデオロ、そして藤沢調教師とルメール騎手の関係性とまったく同じだったということになる。
したがって、これでもしレイデオロが今年の日本ダービーを勝てば、ルメール騎手は2009年以来のオークス・ダービーのダブル制覇を、またも同じ調教師の管理馬によって達成するというわけだ――。