イクイノックス母が演出した大波乱との「不思議な縁」…破った相手は後に宝塚記念を優勝、キタサンブラックやドゥラメンテを撃破の名牝
18日に阪神競馬場で行われるマーメイドS(G3)は、牝馬限定重賞のハンデ戦としてだけでなく、JRAが開催する重賞の中でも特に予想が難解なレースのひとつとして有名だ。
それを証明するかの如く、過去10年で上位人気馬が制したケースは、1番人気が1勝と3番人気が1勝のみ。残りの8年すべてで6番人気以下の伏兵が穴を開けており、近年も10番人気が3勝に7番人気が3勝の荒れ放題となっている。
3連単の平均配当も18万6136円なのだから、マーメイドSを的中させるのは至難の業といっていいだろう。
そんな超難解な重賞を8年前の2015年に制したのがシャトーブランシュだ。
前走のパールS(1600万下・当時)を4着に敗れ、“飛び級”で挑戦した重賞で8番人気の低評価を覆してタイトル獲得に成功。2着に1番人気マリアライト、3着に10番人気パワースポットの入った3連単の払戻は15万1990円と、荒れる重賞に相応しい大波乱の結末だったといえる。
その一方でシャトーブランシュの名前を見て“ピンときた”読者もいるだろう。
実はこの馬、25日の宝塚記念(G1)で大本命に推されることが濃厚のイクイノックスの母である。父に欧州の歴史的名馬ダンシングブレーヴ×米国の名牝グッバイヘイローの血を引くキングヘイロー、母の父トニービンは凱旋門賞(仏G1)を制した名馬だった。
現役時代のシャトーブランシュの重賞勝ちは、マーメイドSの1勝にとどまったが、種牡馬としてブレイク中のキタサンブラックが、世界的な良血の流れる母の爆発力をうまく引き出した結果、イクイノックスが生まれたのかもしれない。
また、イクイノックスを輩出したキタサンブラックにとっても、この年のマーメイドSは全く関わりがなかった訳でもない。
先述した2着馬のマリアライトは、同年秋にエリザベス女王杯(G1)を制してG1馬となり、翌16年春に宝塚記念を8番人気で優勝。奇しくもこのレースで破った相手はドゥラメンテ(2着)、キタサンブラック(3着)だったのだから驚きだ。
両馬とも現役引退後に種牡馬となってから輩出した産駒が大活躍してブレイク。ブラッドスポーツといわれる競馬だけに、何の繋がりもないように見える馬にも、少々意外に思える関係性があったことは面白い。
今年のマーメイドSにも、将来のG1馬を世に送り出す母が潜んでいてもおかしくないはずだ。