武豊「クラシック候補」のスランプでコンビ解消…出世したのはドウデュースのみ、「本来の力を出せていない」大物の復帰が待たれる秋

ウォーターナビレラ 撮影:Ruriko.I

 前走のしらかばS(OP)で8着に敗れたウォーターナビレラ(牝4、栗東・武幸四郎厩舎)は、次走に8月27日のキーンランドC(G3)を予定していることが分かった。

 2年前の札幌でデビューした本馬は、3連勝で2021年のファンタジーS(G3)を制した勢いで阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)に挑み、サークルオブライフの3着。クラシック候補の一角に名乗りを上げた翌年22年の桜花賞(G1)で2着に入った素質馬だ。

 その後、春牝馬二冠となったスターズオンアースに敗れたとはいえ、桜花賞でハナ差の接戦を演じたように、世代トップクラスの実力の持ち主だったといえるだろう。

 しかし、距離延長に不安のあったオークス(G1)で13着に大敗して以降は、これといった見せ場も作れないまま、二桁着順を繰り返すスランプに突入。陣営も試行錯誤した結果、春の高松宮記念(G1)からスプリント路線での復活を試みたものの、いまだに凡走続きの不振から抜け出せないでいる状況だ。

 2走前の函館スプリントS(G3)で10着に敗れた際には、主戦の武豊騎手も「やっぱり1200はいい」と前向きなジャッジを下したものの、同じスプリント戦だったしらかばSの内容を考えると、復調にはまだまだ時間が掛かりそうである。

 そう感じられたのは、次走に予定しているキーンランドCで武豊騎手がゾンニッヒに騎乗を予定しているからだ。

 こちらが先約だった可能性はあるが、ウォーターナビレラを管理しているのは弟の武幸四郎調教師だけに、兄の続投が既定路線なら「空気を読んでくれてもおかしくない」はず。それでも同じレースに出走するということなら、陣営のトーンも上がってきていないのかもしれない。

「本来の力を出せていない」大物の復帰が待たれる秋

「桜花賞で先着したナムラクレアは当時、ウォーターナビレラより格下の存在でしたが、こちらはその後にスプリント重賞を2勝して高松宮記念も2着と活躍しています。距離適性的に似たような2頭でしたが、今やすっかり立場が逆転してしまいました。

武豊騎手としても期待していた馬だけに現在の不振は想定外だったでしょう。当時はドウデュースを筆頭にウォーターナビレラやロンなど、楽しみな大物が多数。この3頭で重賞を何勝するだろう?なんて言われていましたが、結果を残したのはダービー6勝目をプレゼントしてくれたドウデュースだけという現状です」(競馬記者)

 好調な追い切りの動きとレースの結果が結びつかないウォーターナビレラに関しては、馬の方が集中力を失った可能性もあるが、屈腱炎からの休み明け3戦を3連敗しているロン(牝4、栗東・石橋守厩舎)の方は、まだ希望が残されている。

 前述したウォーターナビレラほどの惨敗を喫した訳ではないとはいえ、武豊騎手の口から「復帰してから本来の力を出せていません」というコメントが出た通り、ポテンシャルの高さはレジェンドのお墨付き。陣営が検査した結果、ノドの問題があったらしく、これが“凡走”の理由だったなら復活に期待できそうだ。

 本馬を所有するキーファーズがHPで症状について発表したのは2月中旬。関係者から「復帰は秋になるのかも知れませんね」というコメントの掲載もあり、順調ならそろそろ復帰の目途が立つタイミングである。

 ドウデュースとのコンビで秋のG1戦線を見据える武豊騎手としても、「本来の姿」を取り戻したロンが手駒に加わるようなら、心強いパートナーとなってくれそうだ。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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