武豊「本来の走りではない」コンビ解消から再浮上の兆し…かつてのクラシック候補が重賞視野、完璧騎乗の津村明秀「オープンでも楽しみ」
先月30日に新潟競馬場で行われた佐渡S(3勝クラス)は、直線2番手から抜け出した3番人気トゥデイイズザデイ(牡4、栗東・池江泰寿厩舎)が優勝。待望のオープン入りを決めたことで、復調の兆しが見えてきた。
本馬は後のダービー馬シャフリヤールをデビュー戦でクビ差まで追い詰めたヴィヴァンの半弟。脚元の不安で伸び悩んだ兄の無念を晴らすべく、大きな期待を寄せられたデビュー戦を快勝した際には、武豊騎手から「期待通りの走りで能力を感じます。乗り味のいい馬で、これからが楽しみ」と絶賛されたほどだった。
しかし、その後は条件戦でも惜敗が続いたこともあってか、4戦目の水仙賞(1勝クラス)で4着に敗れたのを最後に人馬はコンビを解消。「この馬の能力を考えると本来の走りではない」と振り返ったレジェンドの言葉には、「こんなものではなかったはず」という想いが見え隠れした。
ただ、クラシック出走の夢こそ潰えたが、トゥデイイズザデイも昨秋に1勝クラスと2勝クラスを連勝。近2走はスタートの出遅れや前残りの展開に泣いたものの、3戦目にして3勝クラス卒業を決めたのが、津村明秀騎手と臨んだ佐渡Sである。
しかも、当初騎乗を予定していたC.ホー騎手が前日に落馬負傷したため、津村騎手は急遽の登板。初コンビのパートナーを勝利へと導いた鞍上の好騎乗が光った。
勝利を手繰り寄せたのは、やはりスタートを決めたことだろう。同じ条件の弥彦S(3勝クラス)では、出遅れが響いて後方からの競馬を強いられた結果、先行勢を捉え切れずに5着に敗れた苦い記憶がある。
これに対し、逃げたルドヴィクスの2番手を終始キープできた今回は、スローに持ち込んだ相手をゴール前で交わすだけという絶好の展開に持ち込めた。弥彦Sで先着を許した2着ルドヴィクス、3着オヌールにもしっかりリベンジを決める快勝だったといっていい。
完璧騎乗の津村明秀騎手「オープンでも楽しみ」
「馬の力は勿論ですが、この勝利は津村騎手の手腕がモノを言ったと思います。他の騎手が様子を見ながら乗っていたのに対し、迷わず好位を取り切ったのは好判断。ペースが速ければ追い出しを待ち、遅ければ前の馬を捕まえるだけの絶好の位置で競馬ができました。
以前は勝負弱さもあった津村騎手ですが、最近は勝ちにこだわる積極的な騎乗が増えた気もします。今回はホー騎手の負傷で出番が回ってきましたが、完璧なエスコートを見せたことで続投の期待も持てそうです」(競馬記者)
奇しくも7月30日は4年前にこの世を去った父ディープインパクトの命日でもあり、産駒のトゥデイイズザデイとしても父に捧げる勝利となった。陣営が見据える先は秋のオープンや重賞となるだろう。
手綱を取った津村騎手も「オープンでも楽しみ」と手応えを掴んだ様子。この調子なら武豊騎手が期待した「本来の走り」を取り戻せる日もそう遠くないかもしれない。