昨年の「実質制裁王」が3年遅れの“改心”!? エルムS(G3)7年目の若手が狙う“会心”の重賞初制覇!

撮影:Ruriko.I

 今週末の中央競馬は引き続き新潟と札幌の2場開催。6日は新潟で3歳限定のレパードS(G3)、札幌で古馬混合のエルムS(G3)という2つのダート重賞が組まれている。

 そのうちエルムSで最有力視されているのは、北海道シリーズで目下2連勝中のペプチドナイル(牡5歳、栗東・武英智厩舎)だ。

 2走前の大沼S(L)と前走マリーンS(OP)は、どちらも先手を奪う積極策を打ったペプチドナイル。3走前から装着しているブリンカーの効果もあってか、レースでの集中力は格段にアップしており、2戦合計で6馬身半の差をつける完勝だった。

 2日の最終追い切りを見届けた武英師は『日刊スポーツ』の取材に対し、「背中を上手に使えていました。マリーンSのときよりも動きはいい」とコメント。1か月強の間に3戦目というタフなローテーションにも不安はない様子だ。

富田暁騎手

 そんなペプチドナイルと5度目のコンビを組むのは、7年目の26歳、富田暁騎手である。

 富田騎手といえば、昨年に自己最多となる38勝を挙げプチブレーク。シンシティと臨んだ昨夏のアイビスサマーダッシュ(G3)では2着に入り、重賞で自身初となる連対も果たしている。

 ところが、アイビスSDの前後に2度の騎乗停止処分を受けるなど、好結果と引き換えにやや荒っぽい騎乗も少なくなかった。実際に昨年は体重超過で騎乗停止を連発した西谷凜元騎手(昨年10月に引退)に次ぐ2番目に多い制裁ポイント「61」を科され、“実質制裁王”にも近かった。

昨年の「実質制裁王」が3年遅れの“改心”!?

「昨年に限らず富田騎手は制裁が多い騎手として知られています。コロナ禍で無観客開催を強いられていた20年春には研修のため渡航していた豪州で2度の騎乗停止処分を受け、帰国後は1か月以上も騎乗できない日々を過ごしたこともありました。

同期の中では唯一、乗馬未経験で競馬学校に入学したというハンデも多少影響しているのかもしれません。しかし、それを克服するための努力は人一倍しているはずで、茨城県出身にもかかわらず、あえて栗東(木原一良厩舎)に所属しているのはその証拠でしょう。

そんな富田騎手ですが、今年に入ってからは一気に制裁ポイントが減少しています。先週末時点で、科された制裁ポイントは僅か9ポイント。これはJRAの全騎手の中で65位タイです(編集部調べ)。制裁の内訳も発馬後の斜行など比較的軽微なものが多い印象で、落馬事故につながるような危険騎乗は影を潜めています」(競馬誌ライター)

 富田騎手は3年前、立て続けに騎乗停止処分を受けた豪州から帰国した際、『netkeiba.com』に連載していた自身のコラムにこう綴っていた。

「自分の気持ちが出てしまってコントロールをおろそかにしてしまった結果なので、しっかり反省します」

 クリーンな騎乗を誓ってから3年の月日を経て、ようやくその時の反省が結果にも表れて始めている。

 何より今年は制裁が少ないだけではなく、クリーンな騎乗とともに勝利数も増加。先週末までに26勝を挙げているが、これは昨年マークした自己ベストの38勝を上回るペースでもある。

 そろそろ若手とは呼ばれなくなる7年目を迎え、騎手として軌道に乗ってきた感のある富田騎手。今週末のエルムSで重賞初制覇を遂げることができるか。

GJ 編集部

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