今年のオールカマーは「G1級」の超ハイレベル? タイトルホルダーはじめ札幌記念に匹敵のメンバー集まる…秋重賞で期待の注目馬たちも参戦に名乗り

ジャックドール 撮影:Ruriko.I

 20日に札幌競馬場で開催される札幌記念(G2)は、毎年のようにG1昇格を望む声が出ているほど注目度の高いレースである。1997年にそれまでのG3からG2に格上げされると、初年度の優勝馬エアグルーヴが同年の天皇賞・秋(G1)を制覇し、本番まで余裕のあるローテーションや涼しい北海道のレースとあって、G1を目指す馬たちの有力なステップとなった。

 今年も昨年に続く連覇を狙うジャックドールが武豊騎手とのコンビで参戦を予定。川田将雅騎手が期待するプログノーシス、C.ルメール騎手のソーヴァリアントにダービー馬シャフリヤールやウインマリリンなど、G1級の好メンバーで争われることになりそうだ。

 今夏の北海道開催には、2023ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)を見据えた外国人騎手の来日もあり、その中には短期免許で秋のG1に騎乗する可能性のある騎手もいるだろう。

今年のオールカマーは「G1級」の超ハイレベル?

 有力馬が揃って非常に楽しみな札幌記念ではあるが、9月24日に中山競馬場で行われるオールカマー(G2)も負けず劣らずの豪華メンバーが出走を予定している。

タイトルホルダー 撮影:Ruriko.I

 レースを盛り上げてくれる筆頭はタイトルホルダーで間違いない。

 5月の天皇賞・春(G1)はレース中に右前肢ハ行で競走中止となり、連覇の懸かった宝塚記念(G1)への出走は叶わなかったものの、大事に至らなかったのは幸いだ。陣営によると現在は放牧中で、オールカマーを使ってジャパンC(G1)から有馬記念(G1)に向かう予定とのこと。現役最強馬イクイノックス、武豊騎手が操るドウデュースとの激突に大きな注目が集まる。

 また、アラタやハヤヤッコといった函館を盛り上げた馬たちが参戦するだけでなく、クラシック候補といわれたドゥラドーレスも今年初戦の江の島S(3勝クラス)を快勝し、初重賞タイトルを目指す。昨秋の菊花賞(G1)を4着に敗れて以来の復帰戦となったが、12キロ増の馬体は成長分。初めて背負った58キロの斤量を感じさせない最速上がり33秒1の末脚で逃げ馬を差し切った。

 そして、タイトルホルダーを脅かす存在といえるのが、昨年のセントライト記念(G2)を制したガイアフォース、同3着ローシャムパークの素質馬2頭である。

 春にマイル戦線で手応えを掴んだ前者の中距離路線復帰は気になるものの、適性はマイルから中距離のタイプ。オールカマーの中山・芝2200mは、セントライト記念と同舞台だけに問題ない。ここを使うからには天皇賞・秋が大目標かもしれない。結果次第でマイルCSや香港国際競走も視野に入ってくるのではないか。

 ローシャムパークも秋のさらなる活躍が期待される1頭。前述したガイアフォースをはじめ、昨秋のセントライト記念に出走していた5着までの4頭が後に重賞を勝ったことでも話題となったが、最後の1頭だった本馬も函館記念(G3)を制したことで仲間入り。これで5着までの5頭すべてが重賞を勝ったことは、現4歳世代の層の厚さを物語っている。

 これらに加えて、宝塚記念で4着に入ったジェラルディーナを所有するサンデーレーシングがオールカマーからの始動を発表したばかり。同馬は昨年のオールカマー優勝馬で連覇が懸かる。宝塚記念ではたか武豊騎手が騎乗したが、コンビ継続の有無にも注目だ。

 超大物が待ち受ける秋のG1戦線を前に、虎視眈々と勢力図の塗り替えを狙う実力馬たちが揃う札幌記念とオールカマーは、G1に匹敵する好レースに期待出来そうだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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