エルムS「目イチの仕上げ」史上初の記録に挑むペプチドナイル…近年見掛ける耳慣れないタイトルとは
南関東三冠を無敗で制したミックファイアを始め、現在JRA・地方ともに盛り上がりを見せているダート戦線。そのJRAには来年の「新設ダート三冠」に先立ち“北海道ダート三冠”に挑む馬がいる。それが今週の札幌で行われるエルムS(G3)に出走予定のペプチドナイル(牡5、栗東・武英智厩舎)だ。
少し聞き慣れないかも知れないが、北海道ダート三冠とはオープン特別の大沼S(L)とマリーンS(OP)、先のエルムSの3つのレースを指している。近年、各メディアでたまに見掛けるようになったこのワード。何者かが意図的に流行らせようとしているのかどうかは定かではないものの、これからは少しずつ浸透していくのかもしれない。
全てダート1700m戦となった2001年以降の対象レースを指す訳だが、04年にウインデュエル、17年にテイエムジンソク、19年にリアンヴェリテと何れも三冠に王手をかけた中で2着、2着、5着に敗れ、これまで三冠を達成した馬は1頭もいない。
師はリベンジに燃え騎手は平常心を装う
2017年当時、テイエムジンソクの調教助手だった武英調教師は「個人的には、めちゃめちゃ力が入っています」とリベンジの思いは誰よりも強く、調教でも「今回は目イチに仕上げました」という師の意欲が伝わってくる。一方で鞍上の富田暁騎手は「厩舎の方もしっかり調整していただいていますし、何も考えず乗るだけです」と平常心で大一番に臨む。
さらに2020年のタイムフライヤー、2021年のスワーヴアラミス、2022年のフルデプスリーダーと直近3年のマリーンS勝ち馬がエルムSを制していることは、陣営にとっても心強い傾向となりそうだ。
ペプチドナイルは大沼Sで1番人気の半弟ハセドンを寄せ付けない走りで後続に3馬身差で勝利し、続くマリーンSでも2着馬に3馬身半差の圧勝劇を披露した。3度目の1700逃走劇に期待したいところだ。