無情の処分命令も北海道逃亡…命が懸かった裁判で敗訴からの大逆転! “悲運の貴公子”テンポイントの祖母「クモワカ伝貧事件」【東大式必勝馬券予想】

 夏競馬も佳境!♪サマー、サマー、あなたサマ、サマーと思わず口ずさんでしまうが、これは花の82年組アイドル・石川秀美のヒット曲「恋はサマー・フィーリング」。

 JRAの方はサマーシリーズ第3戦!13日(日)には新潟競馬場でマイルの関屋記念(G3)、小倉競馬場で2000の小倉記念(G3)が行われる。

 この小倉記念を32年前に3連勝で初重賞制覇したのが、有馬記念(G1)3年連続3着など稀代の“善戦マン”として名を馳せたナイスネイチャ。で、彼の近親(妹の孫)で、その名も「ライスネイチャ」が同じ13日に新馬戦でデビューするそうだ。

 ナイスの主戦ジョッキー松永昌博がライスの調教師。ナイスが35歳で大往生した今年にライスが2歳で小倉記念デーに初出走。そして名前も1字違い(母の名がオムスビだからライス)。出来すぎ話の感もなくはないが、ここはぜひライスに勝ってもらって“ナイス神話”の大団円として欲しいものだ。

 今年で59回を迎える伝統の重賞、小倉記念。ナイスネイチャを詳しく書きたいのは山々だが、今回は彼とライス以上の“血の因縁”を感じる1966年の第2回優勝馬、ワカクモを取り上げたい。

 彼女は3歳牝馬(現表記、以下同)でその年の春、桜花賞(G1)を制している。

 そんな馬が夏の小倉に登場することも驚きだが、7頭立ての4番人気。昭和の競馬ファンの目は節穴か!? 過たず快勝するのだが、当時はビクトリアカップ(エリザベス女王杯の前身)がまだなく、天皇賞や有馬記念は距離が長くて牡馬相手。桜花賞馬といえども「走れるレースをいっぱい走っていっぱい稼げ」の時代だった。彼女も6歳秋まで3度の小倉記念を含む53戦を走りぬき競走生活を終える。

 そして、賢明諸氏はもうおわかりだろうが、“悲運の貴公子”テンポイントの母となるのだ。

 テンポイントと全弟で中山大障害2勝のキングスポイントのことは別の機会に譲り、ここはワカクモの母、クモワカの話をしたい。彼女は桜花賞2着。名前を2文字ひっくり返した娘がリベンジした形だが、母も4歳春まで32戦、元気に走り続けた。

 ところがクモワカは夏に体調を崩し発熱、当時流行していた馬伝染性貧血(伝貧)と診断され、なんと殺処分命令が下されてしまう。“無実”を信じる馬主は密かに彼女を北海道に移送、早来の吉田牧場に匿う形で名前も「丘高」と変え、繁殖牝馬として種付けを行った。

 しかし軽種馬協会は産駒の登録を認めず、裁判沙汰となり、東京地裁では馬主が敗訴したものの他の馬主や生産者の声に押された協会は一転、登録を認可。晴れてワカクモは競走馬としてデビューした。

 これは「クモワカ伝貧事件」として今も語り継がれている。私が“血の因縁”と感慨するのはクモワカ、娘ワカクモ、その仔テンポイント、3頭とも生涯競走成績を<11勝>で終えていること。テンポイントの日経新春杯も数字の神様の仕業とは思いたくないが、この物語も競馬界の神話として後世まで遺したい。

 ここらで「東大馬券王の大よそー」に移ろう。

 夏は牝馬! そしてリピーター……関屋記念のセルバーグより、こっちを選んだ松山弘平を鞍上にマリナエレーナで鉄板だ!!

 小倉2000mは2戦2勝。昨年の同レースは5馬身差の圧勝。以降、勝ち星はないものの今年のG1大阪杯では、掲示板確保の5着でタイムは1分57秒9。このメンバーならケチのつけようがない。

 相手も小倉得意で昨年は4着、前2走ダートで凡走も芝に戻したカテドラルだろうが、東大式鉄則で「1着馬が強いと2、3着はあっと驚く低人気」。昨年も、3着は後のG1馬ジェラルディーナなのに2着は10番人気のヒンドゥタイムズで3連単は5万円近くついた。

 マリナ1着、カテドラル2(3)着で総流し。押さえに3連複マリナ1頭軸の何でもあり10頭流しの45点。見事当てて、「あなたサマ、サマー」と大声で歌おう。石川秀美の旦那様はシブがき隊のヤックン。高額配当ゲットで…♪スシ食いねェ!

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の元敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

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