「1日3勝」決めた佐々木大輔に完全復活の兆し…地方の名手は「148万円」の大波乱を演出、まだまだ続く札幌競馬で狙ってみたい注目のホープたち

武豊騎手

 先週末の札幌競馬は、日曜メインのエルムS(G3)でセキフウに騎乗した武豊騎手が華麗な手綱捌きで勝利へと導いた。かつて若き天才といわれた競馬界のレジェンドもはや54歳。年齢を重ねて円熟味を増したベテランの騎乗に勇気をもらったファンも少なからずいたのではないか。

 来週の札幌記念(G2)では大阪杯(G1)を優勝したジャックドール、天皇賞・秋(G1)での復帰を予定しているドウデュースもスタンバイ。例年以上のハイペースで重賞7勝目を挙げたレジェンドの活躍に期待したいところだ。

 その一方で、将来の競馬界を背負う若手騎手たち2人も存在感を見せた。

札幌競馬で狙ってみたい注目のホープたち

佐々木大輔騎手 撮影:Ruriko.I

 1人は念願の函館リーディングのタイトルを獲得し、ブレイクの兆しを見せていた佐々木大輔騎手(19歳、美浦・菊川正達厩舎)だ。札幌開催へと舞台が替わってから思うような結果を残せず、6日の札幌2Rを10着に敗れた際には50連敗目を数えた。

 函館から馬質が低下していたとはいえ、さすがにそろそろ心配する声も出始めたタイミングだったが、続く3Rでようやく初勝利。これで勘を取り戻したのか、その後の6Rと12Rも勝利して1日3勝3着3回の大活躍だった。

 勉強熱心な努力家の若手らしく、試行錯誤を繰り返した上での完全復調だろう。関係者からの評価も高い有望株だけに、この勢いが続けば秋の重賞でも騎乗するチャンスがあるかもしれない。

 もう1人の注目したい騎手は、人気薄で3度の波乱を演出した石川倭騎手(28歳、北海道・米川昇厩舎)だ。

 2月17日にJRAから発表された「交流競走における騎手の騎乗」の適用により、3月1日以降、中央競馬で当日免許を有する地方所属騎手について、全ての競走(若手騎手競走および障害競走を除く)への騎乗を許可し、地方競馬で当日免許を有する中央所属騎手について、全ての競走への騎乗が許可されるようになった。

 そのため、エルムSで地方馬シルトプレの騎乗があった石川倭騎手は、日曜札幌で計6鞍に騎乗していたのだが、人気薄の穴馬でたびたび波乱の立役者を演じた。

 2Rを7番人気で2着、6Rでも9番人気で3着に入ると圧巻だったのは7Rだ。12頭立てダート1000mのレースを、好スタートから馬群を縫うように抜け出し、ゴール寸前で粘り込みを図る2着馬を差し切った。

 騎乗していたのはブービー人気の大穴サンダビューク。2着に7番人気フクノワカバ、3着に8番人気クロンヌドラレーヌの入った3連単の払戻は、なんと148万590円という高配当。この勝利を目撃したファンからは、SNSでも「さすが倭」「信じてた」「巧過ぎる」と絶賛する声が続出した。

 ちなみにこのレースの3着馬クロンヌドラレーヌに騎乗していたのは、先述した佐々木騎手である。10鞍中6鞍のハイアベレージで馬券に絡んだ同騎手と3度の波乱を起こした石川騎手。まだまだ続く夏の札幌で注目したいホープたちだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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