武豊「キタサンブラック伝説再来」を告げる6馬身圧逃劇!「能力は高い」ゴールドシップも勝った登竜門で“第2章”開幕の予感
競馬界のレジェンド・武豊騎手といえば、無敗三冠を成し遂げた近代競馬の結晶ディープインパクトとのコンビがあまりに有名だ。そんな日本競馬を代表する名コンビには及ばないが、実はディープインパクトの兄ブラックタイドの主戦も務めている。
3歳春にはトライアルのスプリングS(G2)勝ちを引っ提げて皐月賞(G1)に出走したブラックタイド。だが、2番人気に推されるも16着に大敗した後、屈腱炎を発症して約2年間の休養を余儀なくされた。
結果的に志半ばで終わってしまったブラックタイドと武豊騎手の縁だが、本馬が引退した2008年から8年後の2016年。思わぬ形で“再始動”する。
当時、前年の菊花賞(G1)を制したキタサンブラックは「ディープインパクトの兄」として種牡馬入りしていたブラックタイドにとって最高傑作といえる存在だった。ここまで武豊騎手とは縁がなかったが、主戦の北村宏司騎手が落馬負傷した関係もあって2016年の大阪杯(当時G2)からコンビ結成。
以後、北島三郎オーナーの名曲『まつり』と共に日本競馬の頂点へ上り詰めたエピソードは、まだ多くのファンの記憶に残っているはずだ。
そして、あのキタサンブラックが引退してから6年後の2023年、武豊騎手とブラックタイドの縁が再び強い輝きを放った。
「キタサンブラック伝説再来」を告げる6馬身圧逃劇!
「能力は高いですね」
13日、札幌競馬場で行われたコスモス賞(OP、芝1800m)は、かつて後のG1・6勝馬ゴールドシップも勝利した2歳オープンだ。そんなクラシックへの登竜門の1つに武豊騎手はブラックタイド産駒のエコロヴァルツと出走。結果は6馬身差の圧勝だった。
「行きっぷりが良すぎて抑えるのにひと苦労でしたが、真面目に一生懸命走ってくれる」
そんなレジェンドの言葉通り、序盤こそ2番手を追走したエコロヴァルツだったが、向正面を迎えたところでハナへ。稀代の逃げ馬として鳴らしたキタサンブラックのように隊列を引っ張ると、最後の直線は後続を突き放す独走。最後は武豊騎手が手綱を緩める余裕のゴールだった。
「デビュー戦も強い内容でしたが、その走りが評価されて1番人気になった2走目はさらに上を行く内容でしたね。スタートから、かなり力んで走っていたので心配していたのですが、それで最後はあの走り。まだ粗削りな面は大きいですが、将来が非常に有望な馬であることは間違いないでしょう。今後もコンビを組むのなら、これから武豊騎手がどう教育していくのか楽しみですね」(競馬記者)
ちなみに、武豊騎手はこれがJRA通算4444勝目の勝利となった。3333勝を飾った際には記念Tシャツを作成したが、エコロヴァルツと達成した今回の4444勝の記念品には、後々さらなる付加価値がつくことになるかもしれない。