エアグルーヴも、ソダシも及ばない札幌競馬場「超満員」レコード!「ダート開催の札幌記念」で皐月賞馬とダービー馬が激突した伝説

 先週紹介したライスネイチャ(名馬ナイスネイチャの妹の孫)が小倉記念デーのデビュー戦を目前に骨折したそうだ。本当に残念、競馬の神様も天邪鬼だなぁ。

 そのライス君の母の名はオムスビだが、来年秋のNHK朝ドラのタイトルが『おむすび』(主演・橋本環奈)に決まったそうで、こっちは芸能の神様の埋め合わせ?気が早いが来年秋、ライスネイチャと『おむすび』…母子?の快進撃を祈るばかりだ。

 さて8月20日には“スーパーG2”として名高い札幌記念が行われる。

 昭和40年の設立当初は札幌競馬場に芝コースがなく「砂2000m、左回り」で施行されていた。それでも第4、5回を連覇した皐月賞馬マーチスら、北海道避暑から秋競馬への「帰りがけの駄賃」を狙う有力馬の出走も多かったが、1990年に芝となり、97年にG2に格上げされると綺羅星のごとく優駿たちが集うようになった。

 歴代優勝馬には97、98年連覇のエアグルーヴを筆頭にセイウンスカイ、フサイチパンドラ(アーモンドアイの母!)、ハープスター、ソダシら“もうG1馬”から、メジロパーマー(宝塚、有馬)、アドマイヤムーン(ドバイDF、宝塚、JC)、トーセンジョーダン(秋天1:56.1は今も日本レコード)らこの勝利をきっかけに名馬に昇りつめた馬たち…まさに“枚挙に暇なし”!

 どの馬を取り上げようか迷うばかりだが、私も天邪鬼精神を発揮して1976年、まだダート時代の優勝馬グレートセイカンにしよう!

 重賞勝ちは、この札幌記念含め3鞍。ホクトベガやエアグルーヴたちに申し訳ないが、彼が勝った当日の札幌競馬場の入場者数はなんと6万549人。いまだに破られていない大レコードである。

 その理由は……オールドファンならご存じだろうが、3歳(現表記、以下同)の両クラシック馬が首を揃えて出場してきたからである。

 関西の雄テンポイントを破り“天馬”の称号を頂いた皐月賞馬・トウショウボーイ。その天馬を名手・加賀武見 “伝説の出し抜き騎乗”で下し、日本ダービー馬となったクライムカイザー。歴史的一戦を見ようと朝から札幌競馬場は黒山の人だかり。もちろん全国中継され、異様な興奮に包まれていたのを幼心に覚えている。

 1番人気は当然ながらTボーイ。しかし、Cカイザーは3番人気で4歳のGセイカンが2番人気に割って入る。初勝利がダート(中山1700m)で大差の圧勝、そこから芝で2勝するが4勝目の条件戦も、5勝目となった前走・札幌日経賞も大差勝ちで「ダートの鬼」の萌芽をファンも感じていたのか。

 レースの方は、ゲートが開くと同時に大本命の天馬が躓き後方からの波乱の展開。一方グレートセイカンは水を得た魚のごとくダートで軽快に逃げる。直線に入りTボーイが猛然と追い込むも……クビ差届かず!

 Gセイカンの大金星。横綱大鵬が明武谷に敗れたような(例えが古いな)どよめきに満場が包まれた。なおCカイザーはそこから8馬身差の3着だった。「天馬を破った馬」の代名詞をもらったグレートセイカンはその後、なぜか芝の重賞オールカマー、ダービー卿CTを制し、7歳の2月に31戦10勝(うちダート5勝)で引退。生涯成績は関脇止まりの明武谷っぽいが、今のようにダートG1や地方交流があれば大鵬のライバル、横綱・柏戸クラスまで行ったことは間違いない。

 ここらで「東大馬券王の大よそー」に移ろう。

 “もうG1馬”が3頭登録してきた。本命は今年の大阪杯を制したジャックドール。昨年のこのレースの覇者で、退けたのが“世界のパンサラッサ”。洋芝問題なしの先行脚質、安定感はNo.1だ。

 ダービー&ドバイシーマのシャフリヤールは底力No.1も信頼感がイマイチ。ヒモなら去年3着したウインマリリン(香港ヴァーズ)の方がいいかも!?

 馬券は3連単でジャックドール1着からWマリリン2、3着流しでドッカン! 押さえに3連複でジャックDと9戦5勝、複勝率も89%のプログノーシス2頭軸で手広く。

 北の大地を土俵に軍配は貫禄の横綱G1馬か、後の名馬を夢見る関脇・小結に上がるのか? 結びの大一番は日曜午後3時45分、待ったなしである。

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の元敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

関連記事

JRA最新記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 17:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS