札幌記念(G2)ダノンベルーガ陣営が「異例」の弱気発言!? 目標は秋のレースも…「あえての参戦」に踏み切った裏事情

ダノンベルーガ 撮影:Ruriko.I

 20日に行われる札幌記念(G2)。昨年の日本ダービー(G1)で1番人気に推されたダノンベルーガ(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)が、2着に敗れた3月のドバイターフ(G1)以来、約5ヶ月ぶりの復帰戦となる。

 ハーツクライ産駒の同馬は、デビュー2連勝で共同通信杯(G3)を制した大器。昨春の牡馬クラシック二冠はともに4着に敗れたが、先述の通りダービーは1番人気に推されるなど、当時はドウデュースやイクイノックスより上の評価をされていた実力馬である。

 巻き返しを期した昨秋のG1・2戦も、見せ場こそ作れても勝つまでは至らないなど、G1級と期待された馬としては物足りなさが残る戦績といえる。ただ前走のドバイターフは、ほぼ最後方の厳しい位置取りから鋭い末脚を駆使してロードノースに迫ったように、G1級の能力を秘めていることは疑いようがないだろう。

 その後については、個人所有馬ということもあって、あまり情報が出てこなかったのだが、札幌記念にエントリーしてきた。

 登録馬の中にダノンベルーガの名前を見つけたファンからは、SNSやネットの掲示板で「まさかここに出てくるとは」「これは熱い」「今年の札幌記念がより盛り上がるな」など、参戦を大いに歓迎する声が聞かれることとなった。

 だが一方で、ダノンベルーガを管理する堀調教師のトーンはもうひとつ上がっていないようだ。

 師はダノンベルーガについて『サンケイスポーツ』の取材に「両前脚のさばきに硬さがあり、ウィークポイントの右トモ(後肢)もケアしながらの調整。まだ乗り込み不足で緩く、1週前も反応が鈍く、しぶい感じでした」と、まだまだ本調子に至っていないと思わせる発言をした。

 また『日刊スポーツ』に対しても「目標は秋のレースですし、1度使っておくと仕上げやすいので、今回は馬の状態に合わせて調整していきます」と話すなど、今回はあくまで秋の大一番を前に叩き台であることを示唆した。

 実際のところはどうであれ、レースに出てくるからにはどの陣営も「勝つために出す」というのが大前提。凱旋門賞(仏G1)に挑戦したドウデュース陣営が、環境の異なる海外でステップレースを「追い切り代わり」と評したケースはあるが、比較的大事に使われてきたダノンベルーガを国内のレースで“使い捨て”にするというのは、もうひとつピンと来ない。

 だが、そうせざるを得ないだけの事情があったとしたら、少し話が変わってくるかもしれない。

目標は秋のレースも…「あえての参戦」に踏み切った裏事情

「休み明けでもしっかりと仕上げてくる堀調教師だけに、今回の弱気な発言はさすがに気になりますね。とはいえ、秋の目標はおそらく天皇賞・秋(G1)やジャパンC(G1)が濃厚です。となると必然的にイクイノックスやドウデュースといった強敵との対決を避けられません。

これまでG1の壁を乗り越えるのにあとワンパンチ足りていなかったダノンベルーガの現状を考えれば、直行するライバルらに対し、1度使っておくことでアドバンテージを作りたい意図があるかもしれません」(競馬誌ライター)

 振り返れば、堀調教師は昨年の天皇賞・秋の前も「夏は健全な成長に至らなかった」「馬体の作りなどに大きな成長は見られない」など、厳し目のジャッジを下していながらも、レースでは馬券圏内となる3着をきっちり確保。今回の発言だけで勝負気配が薄いと判断するにはまだ早い。

 同調教師といえば、タスティエーラで今年の日本ダービーを制しているトップトレーナー。師の言葉の意味がトップクラスの相手を見据えた上でのものなら、受け取り方も変わってくる。

 裏を返せば強気なコメントが出るくらいでないと、G1での勝ち負けは難しいともいえる。連覇を目論む昨年の覇者ジャックドールやダノンベルーガと同じくG1級といわれるプログノーシスなど、豪華メンバーが集まった札幌記念。本調子でない状態で勝てれば、悲願のG1タイトル獲得も夢ではない。

 あえての参戦に踏み切った堀師の本音は定かではないものの、ここである程度の結果を出さなければ、夢は遠のくばかり。いずれにしても最終追い切りと当日の気配をチェックして、最終的な取捨を決めたい存在だ。

GJ 編集部

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