武豊ロケットスタートの「弱点」匂わせたモズメイメイ…北九州記念(G3)で松若風馬にのしかかる重圧

モズメイメイ 撮影:Ruriko.I

 中央競馬は先週から夏の小倉開催が開幕。今週末はサマースプリントシリーズ第4戦・北九州記念(G3)が20日に行われる。

 夏の短距離王の行方を左右する重要な一戦であり、また秋の大舞台を見据える強豪も出てくることもあって、下半期のスプリント戦線を占う意味でも見逃せない一戦となる。

 中でも大きな注目を浴びるのが、前走の葵S(G3)で驚愕のロケットスタートを決めて圧巻の逃げ切り勝ちを収めたモズメイメイ(牝3歳、栗東・音無秀孝厩舎)だ。

 今年3月にチューリップ賞(G2)を制している3歳世代の実力馬は、前走が初の芝・1200m戦だったにもかかわらず、ライバルたちに一度も先頭を譲ることなく勝利。騎乗した武豊騎手からも「これぐらいの距離の方が良さが生きますね。もうこの路線でいいと思います」というコメントが出ており、一躍スプリント路線の新星候補へと躍り出た。

 管理する音無師も北九州記念を使ってスプリンターズS(G1)へという構想を明かしているように、陣営も今後の飛躍に期待を寄せていることは間違いない。その点、初めての古馬相手の戦いとなる今回は試金石の一戦となりそうだ。

松若風馬騎手

 そんな中、今回は同馬とのコンビで重賞2勝を挙げている武豊騎手が不在。当日は札幌記念(G2)でジャックドールに騎乗するため、鞍上には初騎乗となる松若風馬騎手を迎えることとなった。

 モズメイメイとは初コンビとなる同騎手だが、「モズ」の冠名でお馴染みの馬主キャピタル・システムとのタッグと言えば、2020年の高松宮記念(G1)を制したモズスーパーフレアが思い起こされる。

 スタートから他馬を圧倒するスピードでテンを奪い、ライバルたちの脚を削りながら飛ばして逃げる姿が印象的だった快速牝馬。その特徴に加え、管理するのが音無厩舎だったというのもモズメイメイとの共通点となる。

 思い返してみると、モズスーパーフレアはキャリアで重賞2勝、うち1勝がG1勝ちという実力馬でありながら、この北九州記念は2019年から3年連続で挑んで4着→2着→3着と勝利にはあと一歩届かず。松若騎手としては、同じ勝負服で“先輩の忘れ物”を掴むというのもひとつの使命となる。

 テン乗りは気になるポイントだが、音無師は『スポーツ報知』の取材に「風馬はスタートが上手だから」と意に介していない様子だった。

 しかし、気がかりなコメントを残していたのが、モズメイメイの主戦である武豊騎手だ。

ロケットスタートの「弱点」匂わせたモズメイメイ…

「フジテレビONE」で放送中の『武豊TV!Ⅱ』にて、葵Sの勝利を自ら振り返った際に「もともと速い馬ですが、突進したタイミングで(ゲートが)開いてくれた」と会心のロケットスタートを解説。レジェンドは手応えよりも“運が良かった”という点を強調した。

 そのうえで、「次とかは逆に気を付けます。馬は行ったら開くと覚えてしまう。今度は突進したのに開かずに出遅れという危険もある」と語り、ゲートが開くタイミングが合わなければ、突進の反動で一歩目が遅れてしまう可能性は大いにあると言及。今後の懸念点として挙げていた。

 見る側としては前走の鮮やかなスタートが頭の中にあるだけに、引き続き大きな注目を浴びるのは間違いない。しかも今回は人気の中心となることが予想されるとあって、初騎乗となる松若騎手は大きなプレッシャーの中でその瞬間を迎えることになる。

 加えて、前走も7枠15番という外枠からの戦いとなったが、今回は8枠18番と大外枠を引いてしまった。出遅れを回避したとしても、短距離路線で揉まれてきた古馬の強豪たちを制してハナを奪うのは簡単なことではない。

 厳しい条件の中で代打の重圧に打ち勝ち、モズスーパーフレアでも届かなかった小倉の重賞タイトルを手にすることができるか。はたまた、レジェンドの“不安”が的中してしまうのか。今年の北九州記念はファンファーレの直後、ゲートが開く瞬間にも注目だ。

GJ 編集部

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