「シランケド分かりません」実況アナのミスを帳消し?単勝万馬券の珍名馬がまたまた波乱を演出…札幌記念前日に「不思議なワード」が大活躍

 TVでちょくちょく耳にする「知らんけど」というフレーズ。関西人にはお馴染みであるが、有名人が使うことも多く、最近は認知度も高まりつつある。

 この言い回しの便利さは、自分の主張を話した後に続けて「知らんけど」と足すことにより、「責任は持てない」とぼかすニュアンスも含まれていることだ。そのため、「今年は阪神タイガースがアレするんちゃうか、知らんけど」「最強馬はイクイノックスやのうてドウデュースやろ、知らんけど」のような使い方が可能となる。

 そんな「知らんけど」だが、競走馬の中にも同じ名前の馬がいるのだ。

 それが日曜に行われた札幌記念(G2)の前日、土曜小倉の8R(3歳以上1勝クラス)に出走していたシランケド(牝3、栗東・牧浦充徳厩舎)だ。

 昨年10月の新潟でデビューした本馬は、初陣を6番人気で9着に敗れた後、2戦目の未勝利戦を左後肢のフレグモーネで出走取消。3戦目となった先月16日に中京3Rで初勝利を挙げた際には、単勝1万3210円の12番人気という低評価で大波乱を起こした。

 この勝利を評価されてか、今回は6番人気での出走となった訳だが、前走と同じく最後の直線で鋭い末脚を披露して3着に食い込んだ。

 これだけなら特筆するほどでもないのだが、競馬ファンの心を掴んだのは、やはり「シランケド」という珍名。そしてこの“紛らわしい馬名”がレースを実況したラジオNIKKEIの実況アナのミスを誘発することになる。

「知らんけど分かりません」実況アナのミスを帳消し?

 16頭立ての芝1800m戦。レースでは、スタートした各馬のポジションや隊列についての説明が続いていく。後方3番手に付けていたシランケドの名前が呼ばれたのは、ようやく1000m手前を過ぎたあたり。そのまま直線を力強く抜け出した11番のニホンピロキーフの名前が連呼され、2着は2番のビヨンドザヴァレーと伝えられた。

 そして次に3着馬については横一線ですぐには判断できない状況。そこで飛び出したのが「フェイト粘るところですが、外から猛然とシランケド」という言葉。責任は持てないけれどという意味合いでなら、まさに「名は体を表す」に相応しい馬名だろう。

 ただ、その後の実況で「後方待機のシランケド、猛然と脚を伸ばして3番手争いの一角に加わっております」と続け、勝ちタイムなどの説明をしたアナは、「11番のシランケド、中団に溜めて最後は外、よく伸びました。好位流れに乗って運んだビヨンドザヴァレーが2着。さあ問題の3番手争い、フェイトとシランケド。最後の瞬間です。分かりませんシランケド、そして14番のフェイト」と伝えていた。

 これから察しがつくように、勝ち馬の11番はニホンピロキーフであり、シランケドではない。珍名馬に気を取られてミスをしてしまったのかどうかは定かではないものの、3番手争いでもう一度同じ馬名が出てきたからには、本人も気付いていたかもしれない。

 とはいえ、責任は持てない意味を含む「知らんけど」というフレーズだけに、これはこれで結果的に間違っていたとしても許された雰囲気だ。実際、SNSでもこのレースの実況は競馬ファンの間でちょっとした話題にも上がった。

 珍名馬ということで話題の方が先行しているが、2戦連続で繰り出した上がり最速の末脚はなかなかのもの。ここからさらに成長していけば、ゆくゆくは重賞で名前が呼ばれる日があるかもしれない。知らんけど。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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