スルーセブンシーズ×C.ルメール「再コンビ」で凱旋門賞へ! イクイノックスにクビ差迫った池添謙一「1着でも」降板濃厚だった裏事情
春のグランプリレース・宝塚記念(G1)で2着に好走したスルーセブンシーズ(牝5歳、美浦・尾関知人厩舎)が、10月1日にフランスで開催される凱旋門賞(G1)に挑戦することが、所有するキャロットクラブから正式発表された。鞍上はC.ルメール騎手になる予定だ。
同騎手とのコンビでは、今年3月の中山牝馬S(G3)を制するなど、ここまで3戦3勝と相性抜群。スルーセブンシーズ自身も宝塚記念でイクイノックスとクビ差の接戦を演じるなど、ここにきて充実一途であるだけに、ネット掲示板やSNSなどにも「これは楽しみな挑戦」「世界を驚かせてくれ」といった好戦を期待するコメントが続々と寄せられている。
なお同馬は現在、福島県のノーザンファーム天栄で調整中。輸送や環境の変化などを考慮して出国検疫を同牧場で行い、9月15日に出国を予定しているという。世界の大舞台でどのような走りを見せてくれるか今から楽しみだ。
一方で、同馬から乗り替わりとなるのが池添謙一騎手である。
スルーセブンシーズとは宝塚記念が初コンビだったものの、息の合った走りで最後方からレースを進めると、最後の直線は馬群を割って伸び一瞬あわやのシーン。優勝したイクイノックスとは僅差だっただけに、直線で一瞬前が塞がり進路を切り替えたことが最後の最後に響いたか。
あと一歩で大金星を逃した池添騎手もレース後、「ドリームジャーニーの子供だったので親子制覇を果たしたかったです」と振り返ると、その後も自身のSNSに「どこがグランプリ男やねん」「ここで世界一に勝ってこそのグランプリ男でしょ」などと悔しい胸の内を吐露していた。
ただ、敗れたとはいえ10番人気だった本馬で現役最強馬をタイム差なしまで追い詰めているだけに、持ち前の勝負強さは存分に光った内容だったといえる。それだけにファンからも「前走は負けたとはいえ良い騎乗だったんだがなぁ」「引き続き池添騎手の手綱で凱旋門賞に挑戦してほしかった」などといった意見も見られた。
だが仮に宝塚記念を勝っていたとしても、池添騎手はスルーセブンシーズとコンビ継続で凱旋門賞に挑戦する確率はほぼ無かったという。その辺の裏事情をとある競馬記者が教えてくれた。
池添謙一騎手「1着でも」降板濃厚だった裏事情
「実はルメール騎手は早くから今年の凱旋門賞の騎乗を予定しており、ノーザンファーム天栄からはスルーセブンシーズかサリエラに乗ってほしいと言われていました。ただサリエラの方は小柄な馬で遠征に不安がある上、目黒記念(G2)で惜敗するなど実績も乏しい点がネックとなり向かわない公算が大きくなったため、スルーセブンシーズで臨むことがほぼ内定していたんですよ。
そのため池添騎手は宝塚記念を勝てていたとしても、どのみち乗り替わりが濃厚だったと思います。グランアレグリアなどの時と同じように、これまでの背景からワンポイント騎乗であることは本人も理解していたと思われますし、それだけに宝塚記念では何とか一発回答が欲しかったところでしょうね」(競馬記者)
池添騎手といえば三冠馬オルフェーヴルとのコンビが有名だが、同馬が2012年に凱旋門賞に挑戦した際は「フランスでの経験が浅い」という理由から、現地の外国人ジョッキーに乗り替わりとなってしまった。
同じ轍を踏むまいと池添騎手は翌年、フランスへ経験値を積みに行ったのだが、結果的には2年連続で乗り替わりとなるなど、凱旋門賞とはあまり巡り合わせが良くないようだ。果たして、もう一度スルーセブンシーズに跨る日はやってくるだろうか。