「セリフォスの再来」がC.ルメールに猛アピール!イクイノックス妹との直接対決避けられず…晩年のダイワメジャーに「異質」な大物候補が登場

北村宏司騎手 撮影:Ruriko.I

 27日、新潟競馬場で行われた新潟2歳S(G3)を制したのは、北村宏司騎手が騎乗したアスコリピチェーノ(牝2、美浦・黒岩陽一厩舎)だ。

 C.ルメール騎手を背に6月東京でデビュー勝ちを飾った素質馬だが、主戦騎手が同日に札幌で開催された「2023ワールドオールスタージョッキーズ」に出場するため、今回は北村宏騎手を代打に迎えて出走。12頭立てで争われた芝1600mのレースを好位5番手から突き抜け、1番人気の支持に応えた。

「結果を出せて良かったです。大きなストライドで、この馬の良さを発揮した良い走りをしてくれました」

 レースを振り返った北村宏騎手は、無事に任務を遂行したことに安堵のコメント。スローを味方に10番人気の穴馬ショウナンマヌエラが2着と前残りの展開ながら、余裕の手応えで差し切り勝ち。上がり最速こそ譲ったが、デビュー戦と同じく33秒3の鬼脚を披露した。2戦2勝で重賞タイトルをゲットしたからには、2歳女王の座も視野に入るだろう。

 特筆すべきは「ダイワメジャー産駒らしくない」アスコリピチェーノの切れに切れる末脚である。

 現役時代の父は、安定した先行力と並ばれてから抜かせない勝負根性の強さが最大の武器の馬だった。過去にG1を優勝した産駒もカレンブラックヒル、コパノリチャード、メジャーエンブレム、レーヌミノル、アドマイヤマーズ、レシステンシアなど前々で粘り強さを発揮するタイプが殆ど。これらは父の勝ちパターンを彷彿とさせるレースぶりで面影を感じさせた。

 いかにもダイワメジャー産駒らしい先輩たちに対し、異質とも思える後方待機策で昨年のマイルCS(G1)を快勝したのがセリフォス。最後の直線を後方一気で差し切る姿は、父とは似ても似つかないパフォーマンスではなかったか。

 そして今年の新潟2歳Sを圧勝したアスコリピチェーノもまた、セリフォスの再来といえる切れ味で先行勢を撫で切り。逃げ先行を得意としていた父が、晩年になってタイプの異なる馬を世に送り出したのだから面白い。

 奇しくもセリフォスは2年前の新潟2歳Sを優勝。上がり3ハロンのタイムこそ違えども勝ちタイム1分33秒8(良)は同じ。アスコリピチェーノは鋭い末脚が武器のセリフォスに重なる走りを披露したといえる。

 だが、猛アピールを受けたルメール騎手としては重賞級のパートナーに手応えを感じる一方で、嬉しい誤算も発生してしまったかもしれない。

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

イクイノックス妹との直接対決避けられず…

「2歳の素質馬を多数抱えるルメール騎手ですが、今のところ牡馬の大物といえる馬が不在で牝馬ばかりなんですよね。イクイノックスの半妹として注目されているガルサブランカ、先日の未勝利を楽勝したチェルヴィニア、札幌で話題になったレガレイラはすべて牝馬でした。

どの馬も甲乙つけがたい実力の持ち主ですが、陣営が使い分けで直接対決を避けてくれたとしてもG1の舞台ではそうもいきません。体はひとつしかないので、必然的に鞍上問題が発生しそうですね」(競馬記者)

 先述した4頭以外にも、これからデビューを予定している期待馬は当然ながらいるだろう。

 とはいえ、牝馬のお手馬が充実しているルメール騎手としては、牡馬でも彼女たちに劣らないクラシック候補が登場して欲しいところか。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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