【セントウルS(G2)展望】連対率100%「1番人気」は誰の手に!? 武豊×藤田晋ジャングロVS遅れてきた大器アグリVS復活を期すドルチェモア&ピクシーナイトが激突!

ジャングロ 撮影:Ruriko.I

 10日、スプリンターズS(G1)の前哨戦、セントウルS(G2)が阪神の芝1200mを舞台に行われる。

 このレースは1番人気がとにかく強く、過去10年の成績は「7-3-0-0」。16年からは目下7連勝中だ。最後に馬券圏外に消えた1番人気は10年に6着だったスカイノダンまでさかのぼる。混戦ムードの今年は一体どの馬が1番人気に支持されるだろうか。

 最右翼は、武豊騎手と2戦ぶりにコンビを組むジャングロ(牡4歳、栗東・森秀行厩舎)だ。

 パワフルなフットワークとスピードを持ち味とする米国産馬は、昨年のニュージーランドT(G2)を逃げ切り勝ち。藤田晋オーナーに重賞初勝利をもたらすと、NHKマイルC(G1)に有力馬の1頭として駒を進めた。

 スプリント戦でもハナを切れるスピードの持ち主だけに、本番でも逃げることが期待されたが、スタートでまさかの大出遅れ。道中は最後方を進み、直線にすべてを懸けざるを得なかった。

 初の追い込み競馬で惨敗も予想されたが、直線では外から猛追。上がり2位タイの末脚を駆使して、ダノンスコーピオンから0秒6差の7着まで追い上げ、逃げ一辺倒の脚質ではないことを証明している。

 昨秋はセントウルSからの始動を予定していたが、捻挫のアクシデントに見舞われ長期休養入り。今年7月のアイビスサマーダッシュ(G3)でようやく実戦復帰を果たした。

 その前走は1年3か月ぶりの実戦ながら、追い切りで好時計を連発するなどブランクを感じさせない仕上がり。新潟の千直競馬では不利な内目3枠6番に収まったが、4番人気に支持された。

 初騎乗の戸崎圭太騎手を背にスタートではややタイミングが合わなかったものの、すぐにリカバリーに成功。先団に取り付き、道中の手応えも決して悪くなかったが、ラスト1ハロンで失速し、6着同着に敗れている。それでも、久々を考えれば十分な内容だったといえるだろう。

 中京2歳S(OP)で2歳コースレコード勝ちした際には、武騎手が「スタートが速く、道中もいいリズムで走れていた。ラストはもうひと伸びする形で強かった」と絶賛していただけに、開幕週の馬場も味方につけられそう。藤田オーナーに1年5か月ぶりとなる重賞2勝目をもたらすことができるか。


 ジャングロとはほぼ同時期(2歳秋)に勝ち上がった同世代のアグリ(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)も注目の1頭だ。

 アグリが2勝目を挙げたのは3歳の夏の終わり(昨年8月28日)。ジャングロは、その4か月以上も前に4勝目を手にしていた。しかし、アグリはそこから一気に本格化。4連勝で今年2月の阪急杯(G3)を制し、上がり馬として高松宮記念(G1)に向かった。

 初のG1挑戦ながら、同レースで3番人気に支持され、5連勝での戴冠も期待されたアグリ。だが、不良発表の特殊な馬場に加えて、直線で他馬に挟まれる不利もあり、7着に終わった。

 その後は4月末に香港のチェアマンズスプリントプライズ(G1)に挑戦。それまではほぼ先行していたアグリだが、初の海外競馬で勝手も違ったか、中団やや後方から競馬を進めた。直線でジリジリと脚を伸ばしたが、勝ち馬から7馬身近く離された5着に入るのが精いっぱいだった。

 夏場を休養に充て、迎える秋初戦は1週前追い切りで力強い動きを披露。栗東坂路で4ハロン50秒9-ラスト11秒9を叩き出し、休み明けでも動ける態勢が整っている。

 数多くの一流スプリンターを育てた安田隆師も来年2月に定年を迎える。現役ラストイヤーに突如現れたアグリで最後の大仕事を果たせるか。そのためには前哨戦で好勝負を演じておきたい。

 4歳馬の2頭を実績面で上回る2頭のG1ウイナーは完全復活を懸けて始動戦を迎える。

ドルチェモア 撮影:Ruriko.I

 ドルチェモア(牡3歳、栗東・須貝尚介厩舎)は、昨年末に無傷の3連勝で朝日杯フューチュリティS(G1)を制覇。その後もマイル路線での活躍を期待されたが、今年初戦のNZTで7着に敗れると、NHKマイルCで12着、安田記念(G1)ではシンガリ18着と成績は下降の一途をたどった。

 今回は初の1200m戦となるが、管理する須貝師は「距離を短くして集中力を出させるため」とその意図を『スポーツ報知』に明かしている。思惑通りに400mの距離短縮が起爆剤となるか。

 ピクシーナイト(牡5歳、栗東・音無秀孝厩舎)は、2年前の当レースで2着、その後のスプリンターズSでG1初制覇を遂げた。香港での多重落馬事故に巻き込まれたのはその2か月後。全治不明のけがを負ったが、結局ターフに戻ったのは1年3か月後、今年の高松宮記念だった。

 復帰戦は極悪の不良馬場も味方せず13着。続く京王杯スプリングC(G2)は、1度叩かれた効果も期待されたが、8着に敗れた。それでも勝ち馬とは0秒4差で、上がり目を見せた。一息入れて、さらなる上昇カーブを描けるか。


 この他には、3歳世代を代表するスプリンターのビッグシーザー(牡3歳、栗東・西園正都厩舎)、前走のCBC賞(G3)で4角最後方から6着に追い込んだエイシンスポッター(牡4歳、栗東・吉村圭司厩舎)、同レースで3着に入ったスマートクラージュ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)、今夏の函館で2勝クラス、3勝クラスを2連勝してオープン入りしたモリノドリーム(牝4歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)などの伏兵も参戦予定となっている。

 近年は1番人気の馬が圧倒的な安定感を見せる一戦で、ジャングロ、アグリ、ドルチェモア、ピクシーナイトの4頭が上位人気を形成することになりそう。有力馬にとってはスプリンターズSの前哨戦という意味合いも強く、仕上がり面にも注視したいところだ。

 大混戦が予想されるセントウルSの発走は10日15時35分を予定している。

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