45歳ベテランが前代未聞「56キロ」減量失敗で騎乗停止……胸に刻んでほしい相談役からの“有言無言”のアドバイス
「差しが利く馬場になれば歓迎。前回は上手く乗れたと自負できるところですが、昇級でも差しが利くなら一発があっていいんじゃないかと思っているんです」
これは45歳のベテラン柴山雄一騎手が1日(金)、『競馬ラボ』に連載中の自身のコラムに記した一文だ。そう期待をかけるのは3日の釧路湿原特別(2勝クラス)に出走したディープレイヤー(牡4歳、美浦・大和田成厩舎)。柴山騎手が前走・北斗特別(1勝クラス)で勝利に導いたディーマジェスティ産駒である。
1勝クラスを勝ち上がるのに1年半以上の期間を費やした馬だけに、昇級初戦の今回は8番人気の伏兵扱いだった。ところが先行した馬が1~2着に入る前残りの展開の中、道中後方から大外を回って大健闘といえる3着に食い込んでいる。
ところがこの好騎乗を演出したのは当の柴山騎手ではなく、さらに12歳年長の57歳の大ベテラン・柴田善臣騎手だった。
「JRAは土曜(2日)早朝に突如、柴山騎手が『病気のため』、当日の乗り替わりを発表しました。午後になって改めて発表されたのは、柴山騎手が体重の調整ができず騎手変更になったとして、9月16~17日(開催2日間)の騎乗停止処分を受けたことでした。
結局、日曜(3日)も騎手変更を余儀なくされ、その日に予定していた2鞍はどちらも柴田善騎手が代打を務めました。SNSなどで議論となったのは、柴山騎手が56キロの馬にも騎乗できなかったことです。
育ち盛りの上に減量特典もある若手騎手が体重調整に失敗することはたまにありますが、さすがに『56キロで騎乗不可』というのは聞いた記憶がありません。年齢的に体重を落としにくいのは分かりますが、今後も減量が厳しいのであれば、騎乗馬の確保自体に苦労するでしょうね」(競馬誌ライター)
今回の騎乗停止処分の一報を受け、SNSでは「真夏でこれだと、真冬はさらに減量に苦労しそう」といった心配の声もあった。一方で、「56キロならほぼ牝馬には乗れないよね」「56キロでダメなら引退しかないのでは」といった辛辣な意見も聞かれた。
相談役からの“有言無言”のアドバイス
奇しくも代打を務め、ディープレイヤーを3着に導いた柴田善騎手は7月に柴山騎手がJRA通算600勝を達成したセレモニーでプレゼンターを務めていた人物。競馬ファンからは“相談役”としても知られる柴田善騎手は普段から柴山騎手のことを気にかけているようで、『netkeiba.com』に連載されていた『相談役 柴田善臣』という企画では、柴山騎手に様々なアドバイスを送っていた。
詳細はぜひ6月12日付の同コラムを確認していただきたいが、その中では「本調子じゃないのに“乗りたい乗りたい”ばっかりでは良くない」と騎乗数の減少に悩む柴山騎手に厳しい一言も投げかけていた。一方で「体調を整えて、そして本来の明るいシバ(柴山騎手)でいれば、きっと流れは変わると思うな」とも助言。悩める柴山騎手にも、響くものはあったはずだ。
前出の『競馬ラボ』(9月1日付)のコラム内で「今年の北海道開催は相変わらず乗り鞍も少なく厳しい状況でした」と嘆いていた柴山騎手。柴田善騎手がディープレイヤーで見せた騎乗は「たとえ乗り鞍が限られていても、こう乗るんだ」という無言のアドバイスだったのかもしれない。“相談役”の指摘通り、まずはしっかり体調、そして体重を整えて再スタートを切ってもらいたい。