「レイデオロ以上の乗りやすさ」C.ルメールがゾッコンの大物登場か…「失敗種牡馬」の評価を覆す反撃、エフフォーリアの鹿戸雄一師も「いいモノを持っていそう」

撮影:Ruriko.I

 先週末の開催を終えて、2歳世代の成績が「14.10.7.29/60(勝率23.3%)」と絶好調のスワーヴリチャード。今年に初年度産駒がデビューしたばかりの新種牡馬だが、エピファネイアやモーリスらを抑えて2歳リーディング首位に立つ好発進を決めた。

 産駒の勝ち上がり率も優秀で、この勢いなら現在200万円(受胎確認後)に設定されている種付け料も高騰は必至。今年3月にこの世を去った父ハーツクライの後継種牡馬としても注目度は上がっている。

 また、2017年の日本ダービー(G1)で2着のスワーヴリチャードを負かしたのが、同じく新種牡馬のレイデオロだが、こちらの初年度種付け料はスワーヴリチャードの3倍にあたる600万円(今年は700万円)。スタートから評価に差が開いた2頭だが、その一方でレイデオロ産駒は9月10日まで「2.4.2.28/36(勝率5.6%)」と振るわなかった。

 ネットの掲示板やSNSでは、一部の気の早いファンから「失敗種牡馬」の烙印を押されつつあったレイデオロだが、産駒が大活躍を見せたのが先週末の3日間開催だ。

 土曜阪神の5R(2歳新馬・芝1600m)を5番人気のデルシエロが制すると、日曜中山の2R(2歳未勝利・芝2000m)をレイデラルースが1番人気に応えて勝利。さらに月曜阪神の1R(2歳未勝利・ダート1800m)では、8番人気のスノーライトニングが2着に5馬身差をつける楽勝だった。

 芝でもダートでも適性をうかがわせたことは、父キングカメハメハと同じく二刀流の兼用種牡馬としての期待も持てそうな雰囲気だ。それまで2勝しか挙げていなかった産駒の勝利数は、わずか3日間で4勝を上乗せ。トータル成績も「6.5.2.32/45(勝率13.3%)」まで跳ね上がった。

 まだ産駒の重賞勝ちがないライバル2頭だが、名誉挽回を狙うレイデオロにとって非常に楽しみな1頭がデビュー勝ちを決めたことは大きい。

C.ルメール騎手がゾッコンの大物登場か…

 それは、月曜中山6R(2歳新馬・芝2000m)で2着エリカサファイアに2馬身半の差をつけて圧勝したトロヴァトーレ(牡2、美浦・鹿戸雄一厩舎)のことだ。

 8頭立ての少頭数ということもあって、レースは1000m通過62秒2とスロー。先手を取ったドバイブルースが後続を少し離し、トロヴァトーレは中団やや後ろからの追走となった。

 道中は勝負どころの4コーナー手前で鞍上に促されるシーンも見られたが、最後の直線で外に持ち出されてからは好反応。ゴール前の急坂で末脚の鈍る他馬を尻目に、上がり最速となる33秒8の切れ味で突き抜けてしまった。

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 戦前から鹿戸師も「いいモノを持っていそう」と期待した逸材は、デビュー戦の手綱を任されたC.ルメール騎手もゾッコンの様子。「まだまだ子供っぽいところがある」と名手が振り返った一方で、「ラストで力があるところを見せてくれました」「距離はピッタリのようですし、とても伸びしろが感じられる」「レイデオロに似ているのですが、あの馬以上に乗りやすさがあります」と賛辞の言葉が続いた。

 蜜月の仲だった藤沢和雄元調教師と自身に悲願の日本ダービー初勝利をプレゼントしてくれたのが、トロヴァトーレの父レイデオロである。父の背中を知る名手が、それ以上に乗りやすさがあると評するなら、重賞級の大物が登場したといっても、おかしくないスケールの持ち主といえそうだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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