川田将雅「イチ押し」の若手騎手が信頼回復の絶好機!? 神戸新聞杯(G2)春の悔しさ胸に“勝って”クラシック初騎乗へ!
24日、阪神競馬場では神戸新聞杯(G2)が行われる。3着までに与えられる菊花賞(G1)への優先出走権獲得を目指して、今年は13頭が登録を済ませている。
13頭のうち重賞ウイナーは3頭。2月の共同通信杯(G3)を制したファントムシーフ、3月の毎日杯(G3)を制したシーズンリッチ(牡3歳、美浦・久保田貴士厩舎)、そして5月の京都新聞杯(G2)を制したサトノグランツである。
『netkeiba.com』が公開している予想オッズを見るとファントムシーフとサトノグランツは、単勝オッズ5倍前後で上位人気が濃厚。一方で、シーズンリッチは同20倍台の10番人気想定で、同じ重賞勝ち馬にもかかわらず、他の2頭に比べるとかなり軽視されている印象だ。
3頭はともに日本ダービー(G1)以来の実戦となるが、このレースで最先着を果たしたのは、シーズンリッチだった。
好位3番手から競馬を進めたシーズンリッチは、結果的に先行馬有利の馬場と展開を味方につけ、期待(14番人気)を大きく上回る7着に好走。同タイムで8着のファントムシーフと、11着サトノグランツに先着していた。
「今年のダービーは位置取りが大きく影響を及ぼしたレースだったと思います。タスティエーラが早め先頭から粘り込んだように、前々で競馬を進めた馬の方が有利だったことは否めません。中団から後方にいたファントムシーフとサトノグランツに比べると、確かにシーズンリッチは恵まれた部分もあったと思います。ただそれでも先着したのは事実。実績的にもっと上位に推されてもおかしくない実力馬だと思いますよ」(競馬誌ライター)
実際、シーズンリッチは、毎日杯でも後に新潟記念(G3)を制したノッキングポイントを破っている。それらの実績を踏まえると、もしこのまま10番人気前後になるようなら、かなりの過小評価とさえいえるだろう。
その要因の一つとして考えられるのが、鞍上が20歳の角田大河騎手であることかもしれない。
「角田河騎手は乗れる若手として評価されていますが、まだ2年目。重賞では圧倒的に経験が足りません。ただし、毎日杯ではテン乗りで勝利に導きましたし、馬の癖もつかんでいるはず。何よりダービーに騎乗できなかった悔しさをここで晴らしたいはずです」(同)
実は、ダービーでシーズンリッチの手綱を取ったのは戸崎圭太騎手だった。
「“アレ”がなければ、角田河騎手がダービーに騎乗していたかもしれませんね」(同)
ライターがいう“アレ”とは、角田河騎手や今村聖奈騎手など6人の若手騎手がスマートフォンの不適切使用などで1か月間の騎乗停止処分を受けたあの一件のことである。
「シーズンリッチが戸崎騎手とのコンビでダービーに向かうことが発表されたのは5月2日。その翌日に、若手6人の騎乗停止処分がJRAから発表されたため、『騎乗停止がなければ、(角田河騎手は)ダービーに騎乗できていたかもしれないのに……』という声がファンからあがっていました。
たとえ騎乗停止になっていなくてもダービーでは戸崎騎手に乗り替わっていたのかもしれませんが、角田河騎手にとっては、目の前にあったダービーでのクラシック初騎乗のチャンスが消えたのは間違いありません。今回はそのチャンスが再び巡ってきたといえます」(同)
すでに重賞を制し、菊花賞出走には賞金面の心配はいらないシーズンリッチだが、角田河騎手にとっては失った信頼を取り戻すためにも“勝利”が欲しいはずだ。
そんな角田河騎手とシーズンリッチに立ちはだかる1頭が、同じく重賞ウイナーのサトノグランツである。こちらはもちろん川田将雅騎手とのコンビ継続。角田河騎手にとっては、乗り越えなければいけない相手でもある。
「競馬ファンの間で『JRA-VAN』のYouTube動画が話題になっています。『【100の質問】』という企画なのですが、初回(後半戦)のゲストとして出演した川田騎手が、イチ押しの若手騎手を聞かれ、角田河騎手の名前を挙げていました。角田河騎手としても、大先輩との直接対決でいいところを見せたいはず。やはり勝って(自らの力で)クラシック初騎乗を決めたいと思っているのではないでしょうか」(別のライター)
神戸新聞杯は毎日杯と同じ阪神外回りで、距離が600m延びる。管理する久保田師は、毎日杯後に、「折り合いの不安もないし、距離が延びていい馬」とシーズンリッチを評していた。絶好舞台でモチベーションMAXの鞍上を背に勝機は十分ありそうだ。