「輸送&左回り」に注目のミックファイア…中央に殴り込み必至の秋、ダービーグランプリは通過点に過ぎない?
10月1日に盛岡競馬場で行われるダービーグランプリは3歳秋チャンピオンを決める地方競馬の重賞競走だ。来年から予定されているダート競走の体系整備により、36回目の今年が最後の開催となる。
このレースで注目すべきはやはり「大井の怪物」ことミックファイア(牡3歳、大井・渡辺和雄厩舎)だろう。今年のジャパンダートダービー(G1、以下JDD)を制し、大井所属馬で初の無敗による南関東三冠を達成したことは記憶に新しい。
JDDではハイペースの消耗戦を勝ち切ったミックファイア。予想以上にペースが流れた上にポジションも後ろだったため、「2番手を維持し余力を持って差す」戦略だった陣営は想定外の展開に焦ったようだ。しかし、そんな陣営の不安をよそに、最終直線で6馬身前の先頭をあっさり抜き去り2馬身半差の貫禄勝ちを見せた。
キャリア7戦目にして初めて地元大井を離れることについて、渡辺和師は「まだ大井でしか走っていないので、左回りと長距離輸送を経験させるために使う」とコメント。より大きな舞台で戦うことを見越しての慣らし運転と言えそうだ。
これから視野に入るのは、JBCクラシック(G1)、チャンピオンズC(G1)、東京大賞典(G1)などの大レース。特にチャンピオンズCは、同じ左回りの盛岡で走る今回の経験が生きるだろう。
中央所属のダート古馬と言えばドバイワールドC(G1)を制したウシュバテソーロ、帝王賞(G1)連覇を果たしたメイショウハリオ、ダートG1を3勝のテーオーケインズ、昨年のJRA最優秀ダートホース・カフェファラオなど錚々たる面々が思い浮かぶ。
そんな強豪たちを相手にする上でも、ミックファイアにとって同じ3歳世代が相手のダービーグランプリはあくまで通過点と言える。
マンダリンヒーローとの初対決にも注目
とはいえ、今回は米サンタアニタダービー(G1)で2着のマンダリンヒーローとの初対決にも注目しておきたい。
マンダリンヒーローはミックファイアと同じ大井所属ながら、南関東三冠挑戦ではなく米遠征のキャリアを選択。そのため長距離輸送も左回りも経験済みで、その点だけで言えばミックファイアより一枚上手と言えるだろう。
そしてミックファイア、マンダリンヒーローといった大井勢に待ったをかけるのが北海道三冠馬ベルピットだ。前走王冠賞では三冠を阻止せんとするライバル達の厳しいマークをものともせず、2着に5馬身差をつける圧勝劇を見せた。
なお南関東三冠競走でしのぎを削ったライバルのヒーローコールは今回の出走を回避している。先日戸塚記念を完勝した際に鞍上の森泰斗騎手は「ミックと再戦するまでは負けられない」と宣言。ミックファイアもヒーローコールとの再戦が実現するまでは負けられないはずだ。
ダート最強馬への道を歩み始めたミックファイア。最後のダービーグランプリ馬という栄誉と、7戦無敗の記録を引っさげ秋のG1戦線へ挑めるか。