「1着しか評価されない」「私の技術不足」腕はあってもチャンスに恵まれず…期待のお手馬からまたもや降板、若手の注目株に訪れた試練【スプリンターズS】

鮫島克駿騎手 撮影:Ruriko.I

 またしても大一番を前に有力馬からの降板となってしまった。

 今週末には、秋のG1シリーズスタートを告げるスプリンターズS(G1)が、中山競馬場にて開催。スピード自慢の精鋭たちが秋の短距離王を目指す訳だが、うち4頭は前走で騎乗していた騎手から乗り替わる。

 ただ、ジュビリーヘッドの西村淳也騎手はドルチェモア、ドルチェモアの池添謙一騎手はメイケイエールのように騎乗馬を確保。モズメイメイの松若風馬騎手については、元々が武豊騎手の代打だったため、こちらも予定通りだったといえよう。

期待のお手馬からまたもや降板…

 その一方、スプリンターズSに出走を予定している2頭の前走で手綱を取りながら、本番での騎乗が叶わなかった不運な騎手がいる。それは、北九州記念(G3)で2着のママコチャ、キーンランドC(G3)で3着のトウシンマカオに騎乗していた鮫島克駿騎手のことだ。

 いずれも馬券圏内に食い込んでおり、これといって目立つほどのミスはなかったはずだが、ママコチャは川田将雅騎手、トウシンマカオも横山和生騎手へ乗り替わることを各陣営が発表。その後、熱発によりトウシンマカオが回避したため、たとえ継続騎乗が叶っていたとしてもG1で騎乗するチャンスは叶わなかったことになる。

 先週の開催を終えて、全国リーディング9位につけている鮫島駿騎手。重賞レースもアンタレスS(G3)をプロミストウォリアで勝利したように腕は確か。乗れる若手騎手であることに間違いはないはずなのだが、ことG1レースに限るとツキに見放されている印象がある。

 今年の阪神大賞典(G2)と天皇賞・春(G1)をC.ルメール騎手とのコンビで快勝したジャスティンパレスも昨年の神戸新聞杯(G2)を自らの手綱で勝利に導き、菊花賞(G1)で3着に健闘したものの、有馬記念(G1)ではT.マーカンド騎手へ乗り替わって7着。再び手綱が戻った宝塚記念(G1)で3着に敗れた。

 また、今年の桜花賞(G1)でも6番人気のコナコーストに騎乗し、リバティアイランドの2着に入る好騎乗。次走のオークス(G1)でリベンジを期待されたが、短期免許で来日していたD.レーン騎手へと乗り替わり。鞍上強化を期待されたはいいが、3番人気で7着に敗れていた。

 コントレイルのラストランとなった2021年のジャパンC(G1)で10番人気の大穴サンレイポケットを4着に導く好騎乗を見せつつも、「強い相手に頑張っていながらその一角を崩せないのは私の技術不足です。馬は良い走りをしています」と謙虚なコメントに称賛が集まった。

 桜花賞で2着に敗れた際にも牝馬三冠濃厚と目される絶対女王を相手に「1着しか評価されないと思っていますし、満足はしていませんが、馬の走りは良かったと思います」と満足していなかったようにストイックな騎手である。

 よりによって今回はチャンスのある馬2頭を手放す結果となってしまったが、秋競馬はまだまだ始まったばかり。この試練と悔しさを乗り越えて、さらなる成長へと繋げて欲しいものである。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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