【南部杯(G1)展望】レモンポップ調教師「シリウスS登録」は好采配?迷采配? 連覇狙うカフェファラオと初顔合わせ

レモンポップ 撮影:Ruriko.I

 9日、盛岡競馬場では南部杯(G1)が行われる。秋のダートマイル王を決める一戦には5頭のG1馬が出走を予定している。

 レモンポップ(牡5歳、美浦・田中博康厩舎)は、5歳となった今年、根岸S(G3)で重賞初制覇を飾ると、勢いそのままにフェブラリーS(G1)も勝利。晴れてG1馬の仲間入りを果たした。

 スタートには定評があり、好位で立ち回れるレースセンスの高さは同馬の大きなセールスポイントだ。フェブラリーSでも好位の外々を通って、直線ギリギリまで追い出しを我慢。危なげなく抜け出すと、最後は2着レッドルゼルに1馬身半の差をつける横綱相撲だった。

 その後は海外に矛先を向け、ドバイゴールデンシャヒーン(G1)に挑戦。キャリア12戦目にして初の6ハロン戦だったが、日本のファンは同馬を1番人気に支持した。

 ところが一気に2ハロンの距離短縮が影響したのか、田中博師が「厳しい流れでした」と振り返るほどの激流に飲み込まれ、見せ場なく10着に沈んだ。

 レース後、陣営は秋までの休養を決断。約半年ぶりの復帰戦として先月30日に阪神で行われたハンデ戦のシリウスS(G3)に登録があったが、61kgの酷量を嫌って回避していた。

 シリウスSへの登録は、栗東の坂路を使うためという憶測もファンの間で広まっていたようだが、結果的に南部杯までの1か月の間に美浦→栗東→美浦→盛岡と3度の長距離輸送が発生することになったのも見逃せない事実だ。

 大方の予想通り、南部杯で復帰初戦を迎えることになったレモンポップだが、田中博師の采配は吉と出るか凶と出るか。当日の気配や馬体重増減には注目したいところである。

カフェファラオ 撮影:Ruriko.I

 そんなレモンポップと1番人気を争うことになりそうなのは、21-22年のフェブラリーSを連覇し、昨年の当レースを制したカフェファラオ(牡6歳、美浦・堀宣行厩舎)だ。

 フェブラリーSで連覇を達成した昨年は、秋に南部杯に出走。それまで地方では2戦2敗と結果が出ていなかったが、ヘリオスをハナ差で退けてダートG1・3勝目を挙げた。

 カフェファラオにとって好走の条件となるのが、ダート左回りのワンターンマイル戦である。これがすべてそろった時は5戦5勝といまだ負けていない。逆にこの条件がそろわないときは脆さを見せる。

 昨年と同じく安田記念(G1)から直行というローテーションで、好走条件に合致する南部杯で連覇を飾れるか。初顔合わせのレモンポップという強敵が立ちはだかるが、この条件なら負けるわけにはいかない。

 鞍上は地元岩手の高松亮騎手を予定している。

 ドライスタウト(牡4歳、栗東・牧浦充徳厩舎)は、2歳時にデビュー3連勝で全日本2歳優駿(G1)を制覇。2歳ダート王として、世代を引っ張る存在と目されていた。

 ところが3歳時は故障などもあって僅か2戦(1勝)だけ。4歳となった今年は初戦のすばるS(L)を2着すると、続くフェブラリーSではレモンポップに次ぐ2番人気の支持を集めた。

 レースではレモンポップのすぐ内の好位4番手を追走。直線で伸びを欠き、勝ち馬との差は広がる一方だった。それでも最後は失速しながらもなんとか4着を確保した。

 その後はかきつばた記念(G3)で巻き返しを図ったが、ウィルソンテソーロに競り負けてハナ差2着。夏場を休養に充て、秋はテレ玉杯オーバルスプリント(G3)から始動すると、好位から抜け出して重賞2勝目を飾った。

 レース前には「休み明けのぶん調整が難しく、まだ動きが物足りない」という陣営の弱気なコメントもあったが、良化途上で勝ち切れたことは次につながるか。前走から大きな上積みがあれば、ここでG1・2勝目を挙げても不思議ではない。

ジオグリフ 撮影:Ruriko.I

 芝と砂の二刀流ジオグリフ(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)は、ダートで3戦目を迎える。

 昨年の皐月賞(G1)ではイクイノックスとドウデュースを退けて戴冠した実力馬のジオグリフ。続く日本ダービー(G1)で二冠を狙ったが、7着に敗れると、前走の宝塚記念(G1)まで6連敗中と勝ちが遠い。

 しかも連敗中の6戦における最高着順は今年2月のサウジC(G1)4着で、2~3歳春に見せた勢いは完全に影を潜めている。

 ダートはこれまでサウジCとドバイワールドC(G1)で2度走っているが、国内では今回が初めて。地方の砂で新境地を開きたいところだ。

 ノットゥルノ(牡4歳、栗東・音無秀孝厩舎)は、昨年のジャパンダートダービー(G1)で重賞初制覇。年末の東京大賞典(G1)でも古馬相手に2着と好走したが、その後は3戦すべて8着以下と精彩を欠いている。

 これまでは2000m前後の中距離を使われていたが、陣営はここでマイル戦に方向転換。1999年以来、24年ぶり2度目の当レースVを狙う武豊騎手を背に変わり身を見せることができるか。

 この他には、堅実な末脚が持ち味のタガノビューティー(牡6歳、栗東・西園正都厩舎)、昨年のNARグランプリ年度代表馬イグナイター(牡5歳、兵庫・新子雅司厩舎)、中央所属時代にかしわ記念(G1)で2度の2着があるソリストサンダー(牡8歳、大井・福永敏厩舎)らが出走を予定している。

 栗東坂路での追い切りの“対価”として3度の輸送が発生することになったレモンポップ。その采配は結実するのか。注目の南部杯は、9日の18時15分に発走予定となっている。

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