ノーステッキで「7馬身差」の一人旅! 珍名馬が甘くない走りで他馬を圧倒…「テンよし中よししまいよし」で松山弘平も能力に太鼓判
3年前のデアリングタクトに続く史上7頭目の牝馬三冠を達成したリバティアイランドの快挙に沸いた先週末の京都競馬。オークス(G1)で後続を6馬身差でちぎり捨てた女傑だが、ラスト一冠は前半から位置を取りにいく積極策で勝利した。
同世代で力がひとつもふたつも抜けている存在なのは周知の通り。鞍上の川田将雅騎手にしても相手がどうこうより、いかに不利のない競馬でパートナーの力を発揮させるかに注意しての騎乗だっただろう。
1馬身差で2着に食い込んだマスクトディーヴァは、岩田望来騎手が「いつも通りに出られていたら」「思ったよりも後ろの位置どり」「動きたい時に動けませんでした」と悔やんだように、道中の進路取りでスムーズさを欠いたことが痛かった。
“空気を読まない女王撃破”には失敗したものの、3ハロンで駆使した上がりは、33秒6のリバティアイランドを凌ぐ33秒5で最速。予期せぬ追い込みで脚が溜まっていたからこその数字ではあるが、相手は何もかもが完璧だっただけに不完全燃焼となったことは勿体なかった。次回の2頭の直接対決に期待する意味では、あえて“惜敗”と評してもいいかもしれない。
その一方で、この日の京都でデビュー勝ちを収めたシュークリーム(牝2、栗東・西村真幸厩舎)は、なかなかの強さ。珍名馬といえそうなかわいらしい名前だが、今後の短距離路線で面白そうだ。
珍名馬が甘くない走りで他馬を圧倒…
11頭立てで行われた芝1200mのレース。快調なスタートを決めてハナを奪って、そのまま一人旅。楽な手応えのまま最後の直線を迎えると、懸命な追い上げを図る他馬を置き去りにしてしまった。
直線でムチが入ることもなくノーステッキで2着馬に7馬身の差をつける大楽勝。先頭を走る馬に上がり3ハロン最速の33秒8を使われては、物理的に後ろの馬が届くはずもない。
「今日はスタートも速かったです。前半、楽なペースで、追ってからも突き放してくれて、良い走りをしてくれました。距離も1200mは合っていると思いますし、平坦の京都も向いていると思います」
レース後のコメントでそう振り返った松山弘平騎手だが、“テンよし中よししまいよし”の理想的な競馬で能力に太鼓判を押した。父がスプリンターズS(G1)を勝ったファインニードルということもあり、距離延長には不安を残すが、デビュー戦としては120点といえる快勝だったことは間違いない。
血統的に来春のクラシック候補とはいえないところもあるが、マイルくらいまで距離が持つようなら、暮れの2歳G1で面白い存在となるかもしれない。