【菊花賞】横山武史×ソールオリエンスが勝つ!? J.モレイラ×タスティエーラを寄せ付けない圧倒的データと適性…激走候補は“菊花賞男”武豊のファントムシーフ
「皐月賞馬か、日本ダービー馬か?」
今週末はいよいよ3歳クラシック最後の1戦、第84回菊花賞(G1)が行われる。注目は2頭のクラシックウィナー、すなわち日本ダービー(G1)を制したタスティエーラ、皐月賞(G1)を勝利したソールオリエンスだろう。
そもそも皐月賞馬とダービー馬が揃って菊花賞に出走するのは2000年以来、なんと23年ぶり。その背景には、近年ダービーを制した馬が菊花賞に出走せず、凱旋門賞(G1)や天皇賞・秋(G1)を目指す傾向があるからだ。昨年はダービー馬ドウデュースが凱旋門賞を目指し、皐月賞馬ジオグリフは天皇賞・秋に出走。3歳クラシックの価値が問われる話であるが、これも時代の流れか。
客観的に見て2000mの皐月賞よりも、2400mの日本ダービーを勝利した方が3000mの菊花賞に適性があるように思える。しかし、これまでの菊花賞を振り返ると、明らかにその傾向は逆転していることに気付く。
菊花賞はソールオリエンスが勝つ!?
先に結論を述べるなら、今年の菊花賞は横山武史騎手とソールオリエンスが、J.モレイラ騎手とタスティエーラを大きく上回るデータがあるのだ。
グレード制が導入された1984年以降、日本ダービーと菊花賞を勝利した馬は5頭いるが、その5頭はすべて3冠を制した馬。シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクト、オルフェーヴル、コントレイル。逆に言えば、皐月賞を勝てなかったダービー馬は、菊花賞で一度も勝利していないのである。
一方で皐月賞を勝利し、日本ダービーは勝利していないものの、菊花賞を勝利して2冠を達成した馬は5頭いる。ミホシンザン、サクラスターオー、セイウンスカイ、エアシャカール、ゴールドシップ。
つまり皐月賞馬と日本ダービー馬、どちらが菊花賞に結果を残しているかを考えると、間違いなく皐月賞馬なのである。3歳クラシックの最高峰である日本ダービーを勝利したとしても、皐月賞を勝利していなければ菊花賞は勝てない。これは明白なデータとして記録されているのだ。
これだけでタスティエーラがソールオリエンスと比較して、大きな不安を抱えていることがわかるだろう。
加えて近年の菊花賞を見てみると、過去10年の優勝馬はすべて前走がトライアルのセントライト記念(G2)もしくは神戸新聞杯(G2)、あるいは夏以降の重賞となっている。タスティエーラは日本ダービーから直行という異例のローテーションで挑むが、これまでそのローテーションの優勝馬は1頭もいない。ゆえに前列のない未知への挑戦なのである。
この挑戦が吉と出るか凶と出るかはわからないが、過去のデータからはプラスではない。ソールオリエンスはトライアルのセントライト記念を経由し、菊花賞へ挑む王道パターン。アスクビクターモアやタイトルホルダー、キタサンブラックはこれで菊花賞を勝利している。タスティエーラにとって、このデータも大きな不安要素といえる。
3歳クラシック戦線においては、昔から競馬ファンに語られる“格言”がある。
「皐月賞は最も速い馬が勝つ」
「日本ダービーは最も運のいい馬が勝つ」
「菊花賞は最も強い馬が勝つ」
菊花賞で求められるのは3000mの長距離適性。しかし、高速馬場の影響もあり、近年の菊花賞は強さだけでなく速さも求められている。特に上がりが速くなりやすい京都コースでは、3000mの菊花賞であっても上がり3ハロンで34~35秒台を使える脚力が必要。2018年は、上位3頭が上がり33秒9という決着だった。つまり菊花賞は、皐月賞を勝利できるようなスピードのある馬に、より有利な傾向にあるのだ。
また過去10年で、日本ダービー馬と皐月賞馬が敗退、もしくは出走しなかった菊花賞の勝ち馬を見ても、日本ダービーよりも皐月賞で好走していた馬が多く見受けられる。
2013年エピファネイア(皐月賞2着・日本ダービー2着)
2015年キタサンブラック(皐月賞3着・日本ダービー14着)
2016年サトノダイヤモンド(皐月賞3着・日本ダービー2着)
2021年タイトルホルダー(皐月賞2着・日本ダービー6着)
2022年アスクビクターモア(皐月賞5着・日本ダービー3着)
※皐月賞1~4着馬は菊花賞不出走
この傾向からも、タスティエーラとソールオリエンスのどちらが菊花賞を勝つのか。結論はソールオリエンス優位で動かない。
そして菊花賞で狙うべきは、日本ダービー上位馬よりも皐月賞上位馬。特に皐月賞で好走しながら日本ダービーで大敗した馬は、馬券的にも絶好の狙い目となる。
そこで第3の馬として浮上するのが、皐月賞3着、日本ダービーは8着に敗退したものの、トライアルの神戸新聞杯で3着に好走して菊花賞に挑むファントムシーフだ。しかも鞍上はディープインパクトやダンスインザダークなどで菊花賞5勝の名手・武豊騎手。ここで鮮やかな逆転劇があっても不思議ではない。
データが語る今年の菊花賞馬は、ダービー馬タスティエーラよりも、皐月賞馬ソールオリエンスだ。王道路線で最後の1冠を狙うファントムシーフにも注目したい。