No.1種牡馬エピファネイア「逆襲」の2歳リーディングトップ君臨! 秋競馬で「芝1600m以上、1番人気」なら連対率は驚異の90%超え
「終始手応え良く運べましたし、追ってからの反応も良かったです」
秋華賞(G1)を翌日に控えた先週14日の京都で最も目を引いたのが、紫菊賞(1勝クラス)を3馬身半差で圧勝したジュンゴールド(牡2歳、栗東・友道康夫厩舎)だった。
5頭立てと頭数こそ揃わなかったものの、楽にハナを奪ったジュンゴールドは後続を牽引。最後の直線入り口では5頭が一団になったものの鞍上の坂井瑠星騎手がゴーサインを送ると、あっさりと後続を突き放す。結局、ムチが入ったのは1度だけで、最後は流す余裕を見せながらのゴール。単勝1.5倍に応えると共に、格の違いを見せつけた。
デビュー戦が上がり3ハロン最速の差し切り勝ち、そしてこの日は逃げ切り勝ちと2歳離れしたレースセンスを見せているジュンゴールド。管理するのが名門・友道厩舎とあっては当然、来年のクラシックでの活躍を期待するファンも多いに違いない。
そして、何よりこの勝利が大きいのが、ジュンゴールドの父であるエピファネイアではないだろうか。
国内最高額となる種付け料1800万円を誇るNo.1種牡馬にとって、この2023年は屈辱のシーズンとなっている。宝塚記念(G1)までの春競馬を重賞わずか1勝で終えたばかりか、春のG1戦線に産駒を合計3頭しか送り込めない大不振。結局、G1の舞台では勝ち星どころか、馬券圏内を賑わすことさえできなかった。
評価急落が不安視された7月のセレクトセールこそ、ピクシーホロウの2023が3億3000万円で落札されるなど、2日間26頭の上場で合計約31億円を記録と健在ぶりをアピールしたものの、悪い流れは夏競馬以降も変わらず。現在のリーディングも8位に甘んじている。
周囲の期待が大きい分、期待が裏切られた際の反動も大きい。まさに崖っぷちに立っていると言わざるを得ないエピファネイアだが、反撃の切り札となったのが新たな戦力となった現2歳世代だ。
「逆襲」の2歳リーディングトップ君臨!
「2歳世代の初勝利が7月とやや出遅れた感のあったエピファネイアですが、1800mや2000mといった距離の長いレースが増えるにつれてじょじょに本領を発揮。自身が菊花賞馬ということもあって、スピードよりも豊富なスタミナや底力を伝える傾向がありますが、今年の2歳世代もやはり芝の1600m以上での活躍が目立っています。
特に顕著なのが、秋競馬が始まった9月9日以降(~10月20日現在)の成績です。得意の芝1600m以上で9勝を挙げていますし、勝率26.5%、3着以内率64.7%は『さすがNo.1種牡馬』という実績。特に1番人気に推された際は勝率45.5%、連対率に至っては90.9%と驚異的な結果が出ています」(競馬記者)
今夏はスワーヴリチャードやブリックスアンドモルタルといった新種牡馬の活躍が大きな話題を呼んでいたが、気が付けば合計19勝を挙げるエピファネイアが2歳リーディングのトップに君臨。まさにNo.1種牡馬の面目躍如といった活躍ぶりを見せている。
ただ、エピファネイアにとっては「ここからが勝負所」だという。
「ここに来て調子の上がってきたエピファネイア産駒ですが、問題はこの中にどれだけ大舞台で通用する大物がいるかでしょうね。実際に、昨年も2歳だけで35勝を挙げるなど存在感を発揮したエピファネイアでしたが、最終的な2歳リーディングはリバティアイランドなど大物を輩出したドゥラメンテに奪われてしまいました。
そういった意味でも、ジュンゴールドが紫菊賞で強い勝ち方を見せて2連勝を飾ったことは大きいと思いますし、エピファネイアにとってはここからが本当の勝負所になると思います」(同)
記者が話す通り、現3歳世代のエピファネイア産駒は好調な滑り出しを見せたものの、翌年春のクラシックまで駒を進めたのは、ウインオーディンとモリアーナの2頭だけ。かつて無敗の三冠牝馬デアリングタクトや、3歳年度代表馬エフフォーリアら超大物を輩出したエピファネイアにとっては、あまりにも寂しい結果だ。
「強い勝ち方だったと思います」
紫菊賞のレース後、そう最後までジュンゴールドを絶賛した坂井騎手が見据えるのは、もちろん来年のクラシックに違いない。本馬のファンはもちろん、エピファネイアのファンにとっても待望の大物候補といえるだろう。
種牡馬としても大成功したドゥラメンテの早世こそ惜しまれるが、再来年には話題のコントレイル産駒がデビューするなど群雄割拠の種牡馬界。No.1に君臨し続けるには、二の矢、三の矢が必要だ。