メンタルを削られる「苦痛を乗り越えろ」…まさかの「21万円負け」から大逆転!キャプテン渡辺が菊花賞大的中【徒然なる神のくず競馬トーク】

 競馬をやっていれば誰にでもある、本当に苦痛でしかない事がいくつかありますね。今回は土曜日の東京1Rで起こった出来事です。

ウイニング競馬』でもお馴染み、『東京スポーツ』の虎石晃記者という愉快な人がいます。この日の東京第1R(ダート1600m)の未勝利戦。彼は13番のイリディセントが“激熱”だと言う。6番人気単勝11.3倍の馬である。

 私も納得した。初ダートで大外枠はいい。東京ダート1600mという舞台も、大外枠はいい。キャロットで芝デビューしたくらいだから素質もありそうで、ここでは能力は一枚抜けている可能性がある。それが6番人気。買いではなかろうか。そう思った。

 しかし、私は11番エチャケナにも気がありました。こちらは5番人気11.1倍。この馬も初ダートで前走は東京芝1400m。私はこの時にこの馬の単勝を買っていたのです。スタートでやや後手を踏み、その後はジリジリと伸びるも7着だった。

 しかし、人気以上には走ったし、休養明けの一戦だったし、叩いて良くなる気配があったので、次走にも注目していたのです。あのジリ脚を見る限りダートは良さそうだ。ややテンに不安があるので、この枠も絶好だろう。

 私は悩んだ……。単勝のオッズはどちらも同じで、どちらも来る確率は同じくらいに思えた。虎石さんは13からで相手は11のエチャケナだという。実は前走時も虎石さんはエチャケナを推していたのだ。

 う〜む……。いや、私は11の方を本命にしよう。前走も買っていた馬だし。11の単勝を5千円買って、そして11−13の馬連とワイドを3千円ずつにしよう、と。いつもの私のオーソドックスな買い方ですね。「よし!これでいこう!」と思ったのです……が!

 ここのところ馬券の調子が非常に悪かった私は、別にそれほど自信があるわけでもない朝の1Rから、1万1千円も使う事に躊躇いの気持ちが出て来ました。調子が良い時なら躊躇わない。

「峰人(本名です)ちょっと待て。落ち着くんだ。そう簡単に5番人気と6番人気の馬連を一点で獲れるわけもない。朝の1Rから1万1千円も負けたら、甚だ不快で『ウイニング競馬』の買い目にも響くぞ!ここは11の単勝5千円だけにしておけ。5千円負けなら、ハズレてもまあ、許容範囲だろ?当たれば約5万5千円の払い戻し。朝イチの戦果としては充分じゃないか」

 以上の考えを私は心の声ではなく、完全に声に出して言った。そして賢明なる内部の己に従い11番の単勝5千円にとどめて電車に乗り込み(ウイニング競馬の為に東京競馬場に向かうところだった)、携帯でレースを観ました。

 11番エチャケナはややスタートは悪かったものの、すぐに押し上げていきジワジワと2番手まで上がっていく。実に手応えも良さそうだ。直線に入り、早めに先頭に立ち後続を突き放すエチャケナ!グイグイ突き放す!これはもう確勝だろう。

「よし!単勝5千円大正解だ!」そう思った時、1頭4番手からジリジリと伸びて来ている馬がいた。そう13番のイリディセントだった。おいおいちょっと待ってくれ!お前が2着まで来てしまうと、私は大変なミスを犯した事になる!最悪3着なら許す!ワイドならそれほど痛くはない!来ても3着までにしてくれ!2番手、3番手の馬も伸びている…!願わくは4着で終わってくれ〜〜〜い!!キエ―――――――イ!!!!!!!

 私の命懸けの祈祷も空しく、何とイリディセントが頭まで突き抜けた……。2着はエチャケナ。単勝すらハズレた。そんなバカな……。あそこから負けるなんて……。いや、違う。最初に思った通り、11−13の馬連とワイドを3千円ずつ、何故買わなかったのだ(涙)(涙)(涙)。馬連の配当は5400円。ワイドは1610円。3千円ずつ買っていれば、ザッと21万の払い戻しだった。

 全てが終わった。私は立ち上がる事もできない。というか、立ち上がろうという気にもならない。バカバカしい。競馬をやっている皆さんならわかっていただけると思う。実際に無くなったお金は5千円だが、これは5千円負けではない。完全に獲れた21万円を、ほんのささいな気分のようなものでみすみす逃したのです。21万を落としたようなものです。つまり21万負けなんです。21万も負けた人間は立ち上がる必要がない。

 こんな人間がその日の『ウイニング競馬』で当たるわけがない。私は白旗を掲げて競馬場に入る為に、棒と白いTシャツを来ているジジイを探した。事情を話せばジジイも服を交換してくれる事だろう。全ては終わったのだ。

まさかの「21万円負け」から大逆転!

 皆さん。皆さんもこのような経験は山ほどありますよね?寝坊とか、うっかりしてて締め切られたとか、他にも友人の言う事をその時なぜか聞いてしまって、最初に買おうと思っていた馬をヤメてしまったとか、様々な要因でこのような事は誰にでも起こり得るし、ほとんどの人が経験した事があるでしょう。

 あの狂おしさ。あの苦痛。何一つ面白くない、ただの苦痛。何故こんなに苦しまなければいけないのか、と(笑)。この時の精神の保ち方は人それぞれでしょうが、私の場合はですねえ。「例え21万の払い戻しがあったとしても、どうせ調子に乗って他のレースで使って、あっという間に無くなっていただろう。そう競馬、いや、そもそも人生において21万なんて大したお金ではないのだ……。ああ、死にたい……。」こんな感じで耐えます。耐えれてないですけどね(笑)。

 こういう事は今後も必ずあるでしょうね。でも、私はこういう事があったおかげで気分や精神的なものに変化が生じ、逆に良い予想が出来て獲れる馬券もあると、最近はそういう風に思い込む事もあります。実際に獲った事もあります!

 などと思っていたら、何と菊花賞(G1)でドカンと大儲けしました!!そういう事もあります!!意外とよくあるんですよ本当に。今は土曜日ハズレてよかったと思っています(笑)。なので、皆さんも馬券的苦痛があっても、乗り越えましょう〜!そのおかげで獲れる馬券の事を想い、乗り越えましょう(笑)。ではまた!

キャプテン渡辺

お笑い芸人。1975年10月20日生まれ、静岡県静岡市出身。A型。放送芸術学院卒業。2005年にお笑いトリオ・キラッキラーズを結成。現在はピン芸人として活躍中。土曜の競馬中継「ウイニング競馬」(テレビ東京)レギュラー。競馬予想術の粋を集めた自著「神の馬券術」(KADOKAWA)が好評発売中

【YouTube】くず競馬チャンネル

Twitter:@captain1975

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