「世代トップ」の若手は福島で巻き返し必至! 丹内祐次、菱田裕二が存在感見せた裏で…人間関係に悩まされたG1ジョッキーが「わずか1勝」の大スランプ

丹内祐次騎手 撮影:Ruriko.I

 イクイノックスが「世界最強馬」の実力を証明した天皇賞・秋(G1)が大きな注目を集めた東京開催だったが、裏開催の新潟は先週末で今年の開催を終了。次回の開催は来年の4月下旬からの再開となる。

 年間リーディングは13勝を挙げた菱田裕二騎手、4回新潟の開催リーディングは9勝を挙げた丹内祐次騎手が獲得した。ローカルで存在感を見せている腕利きだけに、こういった地道な活躍が関係者の目に留まると、いずれは大舞台に羽ばたくチャンスに繋がるはずだ。

「勝ち星自体は多くないですが、丹内騎手の連対率は4割近くと信頼できました。レースでも勝ち負けを意識できるポジションを取りますし、最後まで必死に追ってくれるところが彼の持ち味です。

雨が降って馬も人も根性が求められる馬場状態が多かったことも、諦めない丹内騎手の勝負強さが功を奏したと思います。斤量に恩恵のある減量騎手に有利なローカル開催でも安定感は抜けていましたね。

かつてはマイネルの主戦といった感じでしたが、最近は個人馬主からの騎乗依頼も増えるなど、幅広く依頼が集まるようになって馬質が上がりつつあります。これまでローカルでリーディングを争っていた西村淳也騎手が、主開催に戦場を移していますし、春の新潟でリーディングを取った菱田騎手は怪我で療養中なので、福島でも丹内騎手を中心に回る事になるでしょう」(競馬記者)

 また、開催前にリーディング候補と目された佐々木大輔騎手だったが、初勝利までに23連敗(競走除外含む)を喫したことが尾を引いた。なんとか最終週に4勝を挙げる追い上げを見せたものの3位という結果。注目されるようになったことで周りのマークも厳しくなり、思うような騎乗が出来ないケースもあった。

 馬場読みや進路取りの面でも経験の浅さが見受けられ、これには本人も相当悔しがっていた様子。今村聖奈騎手や角田大河騎手から、実力で世代トップの座を勝ち取った若手の注目株だけに期待されている。今週から始まる福島開催でも有力馬の依頼が殺到しているようなので、本人も巻き返しに燃えているのではないか。

G1ジョッキーが「わずか1勝」の大スランプ

吉田隼人騎手 撮影:Ruriko.I

 ローカルで実力をつけて、主開催への進出を目論む騎手たちが存在感を見せた一方、成績不振からローカルに活路を見出したかった吉田隼人騎手は、現在の不調を表しているかのように1勝の大スランプ。元々ローカルで好成績を残していた実力派ということで、騎乗馬の馬質はそれほど悪くなかったのだが、2着が8回もあったように惜敗も多かった。

 そして何より痛恨だったのは、乗り鞍が少なかったことだろう。こちらについては、夏の北海道開催の前にエージェントを変更した影響が大きかったと考えられる。

「現在のエージェントは畑の違う業種から来た人物のため、競馬の知識や仕組みなどに疎い面があります。過去に様々な騎手のエージェントをやっていましたが、良好な関係が続かなかったといわれています。今回も吉田隼騎手が探しているという話を聞いて手を挙げたそうですが、夏以降は騎乗数の集まらない状況が続いています。このままなら吉田隼騎手との関係も長続きしないかもしれませんね。

かといって吉田隼騎手自身の問題もまったくないとは言い切れません。これまで何人もエージェントを変更している経緯を考えると、対人コミュニケーションが苦手なのかもしれませんね。吉田隼騎手のエージェントなら、やりたがる人がいるはずなのになかなか希望者が集まらないのも不思議な話でしょう」(同)

 “村社会”ともいわれる競馬界だけに、波風を立てる人物の風当たりがきつくなるのは、ある程度避けられない。

 以前、担当していたエージェントも吉田隼騎手と他の騎手の関係悪化に頭を悩ませた結果、2人ともエージェント変更という結末を迎えていただけでなく、その前の担当者もグループ内の人間関係に苦労をしていたという噂も現場関係者から耳にしたことがあった。

 とはいえ、白毛のアイドル・ソダシとのコンビで華やかな舞台に立っていたG1ジョッキーとしても、このままでは終われないという意地があるだろう。この後もローカルを中心に騎乗を予定している吉田隼騎手。はたしてどこまで盛り返してくるのか注目したい。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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