リバティアイランド以外は「低レベル」の評価に手のひら返し? 3歳世代の超大物候補が続々出現…冬のG1戦線は「超ハイレベル」の戦い必至か
当初は、無傷の3連勝で皐月賞(G1)を快勝したソールオリエンスに無敗の三冠を期待する声も出ていた3歳牡馬のクラシック。終わってみれば日本ダービー(G1)でタスティエーラが逆転に成功し、両馬の再対決が注目を集めた菊花賞(G1)は、上がり馬のドゥレッツァが優勝した。
3頭がG1タイトルを分け合う三強状態となり、今後の対戦も非常に楽しみな世代ではあるが、抜けた馬がいないという評価は、もうしばらく続きそうな雰囲気だ。
対する牝馬は、牝馬三冠を達成したリバティアイランドの強さばかりが目立った。川田将雅騎手が悔やんだアルテミスS(G3)で唯一の敗戦を喫したが、それは直線でスムーズな進路を取れなかったことが敗因。ラスト一冠の秋華賞(G1)では、とにかく不利を受けないように細心の注意を払う騎乗ぶりも素晴らしかった。
現時点で今年の3歳は、リバティアイランド以外に大物といえる馬はいないと考えるファンも多いのではないか。
3歳世代の超大物候補が続々出現…
しかし、少し見方を変えてみると、芝でこそもうひとつ物足りなさを感じるものの、ダートには手の平を返さないといけないほど、超大物候補と呼べる逸材が揃っていることに気付く。
筆頭は中央の強豪相手に無敗で南関東三冠を達成したミックファイアだろう。これは2001年のトーシンブリザード以来、22年ぶり2頭目の快挙。次走のダービーグランプリも制して7連勝まで勝ち星を伸ばした。
次に注目したいのは、これまで日本馬が本場の厚い壁に何度も跳ね返されてきたアメリカのブリーダーズCクラシック(G1・以下BC)で2着に善戦したデルマソトガケ。今年のドバイワールドC(G1)を制したウシュバテソーロをはじめ、強敵相手に日本馬で史上初となる快挙まで1馬身差の大健闘を演じた。ダートの世界最高峰の呼び声高いレースだけに、実績的にはミックファイア以上の評価を与えていいかもしれない。
これに続くのが、先週末のみやこS(G3)で古馬相手に大楽勝を決めたセラフィックコール。デビューからの5戦すべてで出遅れていながら、無敗で初重賞勝ちとスケール感は抜群である。数多くのG1馬に跨った経験を持つM.デムーロ騎手が「化け物感がある」と惚れ込んでいるのだから、底知れない強さを感じさせる。
最後に注目したいのは、出走を予定していた土曜東京のメインレース・武蔵野S(G3)を回避したオメガギネス。先月9日に行われたグリーンチャンネルC(L)では、レモンポップが優勝したフェブラリーS(G1)の勝ちタイム1分35秒6をユニコーンS(G3)で0秒6も上回ったペリエールが断然人気に支持されていたが、同馬相手に真っ向勝負で3着に退ける楽勝を決めた。デビューから3戦連続で1800mを使われていた馬だけに、距離はこなせそうだ。
これらに共通するのはダートの中距離で活躍している点である。
肩書だけでも無敗の南関三冠馬、日本馬初のBCクラシック連対馬、デムーロ騎手が評した化け物、今年のフェブラリーS以上といわれたユニコーンSを制したペリエールを撃破した馬が、一堂に会する可能性もある。
紹介した4頭すべてが今年の3歳世代であり、ダートに限っては史上最強世代といっても過言ではない超大物候補たちといえるだろう。
12月にはチャンピオンズC(G1)と東京大賞典(G1)が開催されるだけに、世界のG1を制したウシュバテソーロやパンサラッサとの激突も十分に考えられる。イクイノックスとリバティアイランドに巻き返しを期すドウデュースの戦いで盛り上がるジャパンC(G1)が終わっても、ダートの最強馬争いも超ハイレベルの熱戦が繰り広げられそうだ。