ロードカナロアの甥「歴史的逆転劇」にファンも騒然!? カラ馬に絡まれコーナー曲がれず約10馬身遅れから……

岩田望来騎手 撮影:Ruriko.I

 11日、京都競馬場で行われた6R・3歳以上1勝クラスは1番人気のロードアヴニール(牡3歳、栗東・野中賢二厩舎)が勝利。7か月ぶりの復帰戦を見事な白星で飾った。

「なんとか届いてくれましたね」

 レース後、鞍上の岩田望来騎手がそう胸を撫で下ろしたが、結果自体は2着に1馬身3/4差をつける完勝劇。着差だけを見れば「なんとか」どころか、余裕の勝利にも見えるが、もちろんこの発言には理由がある。

 1頭取り消して、9頭立てで行われたダート1800mのレース。課題のスタートでまたも出遅れたロードアヴニールは後方からの競馬となったが、1コーナーに差し掛かった際、前を走っていたクープランが前の馬と接触して大きくバランスを崩すと、鞍上の森裕太朗騎手が落馬……。

 岩田望騎手が咄嗟に舵を外に切ったことで接触こそ避けられたが、カラ馬になったクープランに内から絡まれ、コーナーを曲がるどころではなくなってしまった。

 その後、なんとか1、2コーナーを曲がり終えてレースに復帰したロードアヴニールだったが、「煽りを受けてロードアヴニールはかなり外。一番後ろになってしまいました」と実況されるほど絶望的な位置。向正面で集団の最後方には取りついたものの一時、集団から10馬身近く離された不利はあまりにも大きいように思えた。

 だが、ここから岩田望騎手とロードアヴニールの逆襲が始まる。

「歴史的逆転劇」にファンも騒然!?

 4コーナーから岩田望騎手のアクションが大きくなると、ロードアヴニールは猛然と加速。最後の直線で大外に持ち出されるとライバルたちを一飲みにし、最後は流し気味にゴールした。

 これには2着モズバンディットの鞍上・幸英明騎手も「勝ちパターンだと思いましたが、相手が強すぎましたね」と白旗を振るしかなかったようだ。

「驚きました。正直、1コーナーでカラ馬に絡まれてしまった際は、今回は無事に回ってきてさえすれば良いくらいに思っていたのですが、まさかあそこから巻き返すだけでなく、最後は楽勝でしたからね。レース後に、『切り替えて落ち着いて運びました』と振り返った岩田望騎手の冷静さが功を奏したと思います。

初ダートだった3月の未勝利戦を7馬身差で圧勝した時から期待されている馬ですが、ここではモノが違いました。今年の3歳ダート馬は好素材が揃っている印象ですが、また1頭これからが楽しみになる馬が現れましたね」(競馬記者)

 また、今回のロードアヴニールの衝撃的な逆転勝利を見て、かつてのオルフェーヴルを思い出したファンも少なくなかったようだ。

 オルフェーヴルといえば言わずと知れた史上7頭目の三冠馬だが、中でもファンの間で今なお語り継がれているのが、2012年の阪神大賞典(G2)だ。

 前年の三冠馬であり、有馬記念(G1)で世代交代を告げた新王者としてこの年の始動戦を迎えたオルフェーヴル。単勝1.1倍という圧倒的な支持を集めたものの、3コーナーで「コースアウト」と言えるほどの大きな逸走……。

 大本命馬の絶望的なアクシデントに、阪神競馬場に詰めかけた多くのファンから悲鳴やどよめきが上がったが、そこから人知を超える追い上げで2着に食い込んだのはオルフェーヴルがただの暴れん坊ではなく「暴君」と称される所以だろう。競馬の常識を覆すようなずば抜けたパフォーマンスは阪神競馬場だけでなく、全国の競馬ファンを驚かせた。

 あの“伝説”から約11年。奇しくもロードアヴニールは、オルフェーヴルの同期として大活躍したロードカナロアの甥にあたる。劇的な勝利を飾った本馬が、これからどこまで強くなるのか。次走も大きな注目が集まりそうだ。

GJ 編集部

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