【ジャパンC】「ハナ争い」はタイトルホルダーとパンサラッサで決まり?二強を脅かす快速馬に波乱の予感…両雄並び立たずの可能性を探る

パンサラッサ 撮影:Ruriko.I

 今を遡ること31年前に「決戦は金曜日」という曲が大ヒットしたが、競馬ファンの多くにとっては、さしずめ「決戦は日曜日」といったところか。

 今週末に行われる頂上決戦のジャパンC(G1)にも、アーモンドアイ超えの賞金王を狙う世界最強馬イクイノックスと、王者打倒を目論む三冠牝馬リバティアイランドをはじめとした国内外の精鋭たちが覇を争う。

 また、ジャパンCは暮れのグランプリ有馬記念(G1)と並び、1着馬に賞金5億円が手に入るハイレベルなレース。当初は10頭前後の少頭数となりそうな雰囲気が濃厚だったものの、最終的な登録馬数は21頭に急増した。下馬評ではイクイノックスの一強、もしくはリバティアイランドとの二強と目されているが、出走頭数が増えることにより、「両雄並び立たず」の可能性も出てくるのではないか。

 なんといってもレース展開を一変させるパンサラッサ陣営が、ジャパンCの出走に名乗りを上げた意味は非常に大きい。今年の天皇賞・秋(G1)を圧勝したイクイノックスですら、3歳で挑んだ昨年は最後の最後まで粘り込みを図るパンサラッサに苦戦した。

 その後の2頭は袂を分かつこととなったが、その間にパンサラッサは世界最高賞金を誇るサウジC(G1)を制して現役馬の賞金王となり、ドバイシーマクラシック(G1)を制したイクイノックスをも上回っている。ただ本レースはジャパンCの褒賞金対象となるだけに、イクイノックス陣営も負けられない覚悟で臨むはずだ。

タイトルホルダー 撮影:Ruriko.I

 お互いに意識する2頭とはいえ、パンサラッサ陣営がイクイノックス以上に気になるのは、タイトルホルダー陣営の出方だろう。いずれも逃げて好結果を残してきた稀代の快速馬であり、好走に欠かせない条件はマイペースの単騎逃げ。1頭だけなら比較的容易でも2頭になると簡単ではない。競り合うような格好で飛ばした場合、消耗が激しく共倒れとなる可能性が高い。

 タイトルホルダーとパンサラッサの直接対決は過去に2回。2021年の有馬記念(5着、13着)と昨年の宝塚記念(G1・1着、8着)で実現している。成績としては距離に不安のあるライバルを下してタイトルホルダーが2戦2勝の無敗。今回も東京の芝2400mという条件を考えると、タイトルホルダーが優勢かもしれない。

 次に考えたいのは、どちらがハナを奪うかだが、これまでの2回で「逃げてこそ」のパンサラッサがハナに拘ったのに対し、2番手でも問題ないタイトルホルダーなら隊列は意外とすんなり決まりそうだ。

 だが、その気になれば逃げられるスピードのあるタイトルホルダーだけに、大逃げは許してくれない可能性が高い。おそらくは先に行かせた上で事実上の単騎逃げを選択すると考えられる。ここまではある程度予想通りの展開となるのではないか。

二強を脅かす快速馬に波乱の予感…

 そこで重要となってくるのは、イクイノックスとリバティアイランドの作戦である。

 前走の天皇賞・秋では、ジャックドールの逃げを3番手で楽に追走したイクイノックスとC.ルメール騎手のコンビだが、今度は川田将雅騎手とリバティアイランドの存在を無視できない。

 再度強気な先行策を採る可能性があるにしても、さすがにポジションは少し後ろになりそう。11頭立てだった天皇賞・秋に対し、ジャパンCはフルゲートの可能性すらあるのだから、道中のごちゃつきにも警戒が必要となる。リバティアイランドと川田騎手のコンビも、今回は同世代の3歳牝馬ではなく世界最強馬が相手。受けて立つ側から挑戦者となるため、イクイノックスをマークする競馬が濃厚だ。

 至極当たり前の話をすることになるのだが、逃げ馬を楽に行かせ過ぎても粘り込まれるリスクが生じ、追い掛け過ぎても末脚勝負に懸ける馬の脅威もある。こういった道中の駆け引きを求められる2頭に比べれば、いつも通りの逃げで作戦がほぼ確定している2頭に有利かもしれない。

 ルメール騎手も川田騎手もトップジョッキーだけに、こんな心配をする必要すらないだろうが、タイトルホルダーだけでなくパンサラッサが出走することについては、波乱の予感を期待させてくれる最高の刺客といえそうである。

GJ 編集部

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