「芝の方が良い」「ダート適性はある」イクイノックス撃破も遠い記憶…悩めるドゥラエレーデ「問題解決」の裏で深まる皐月賞馬ジオグリフの混迷
ダート王レモンポップの逃げ切りで幕を閉じた今年のチャンピオンズC(G1)。出走した15頭の中でも「大きな収穫」を得たのが、3着のドゥラエレーデ(牡3歳、栗東・池添学厩舎)ではないだろうか。
スタートこそまずまずだったドゥラエレーデだが、鞍上のB.ムルザバエフ騎手が押して押して先団へ。逃げるレモンポップに鈴を付ける2番手からの積極策になった。最後の直線でも抜け出しを図るレモンポップに激しく抵抗。最後は振り切られて、ウィルソンテソーロにも交わされる3着だったが、長いトンネルにようやく光明が見えた。
昨年12月のホープフルS(G1)を単勝90.6倍の14番人気という低評価を覆して勝利。一躍、2歳王者となったことでクラシック戦線の中心に躍り出たドゥラエレーデ。
だが、その一方で本馬は芝のレースで連敗し、ダートで初勝利を挙げた馬。そんな事情もあって、今春はダートのUAEダービー(G2)から芝の日本ダービー(G1)という異例のローテを歩んだ。さらに日本ダービーはスタート直後に落馬する不完全燃焼に終わったこともあって、3歳馬ながら宝塚記念(G1)にも挑戦している。
そして今秋、我が道を行くドゥラエレーデはセントライト記念(G2)から始動するも、8着に惨敗。昨年のホープフルS勝利は今や昔……9番人気という低評価で迎えたのが、今回のチャンピオンズCだった。
「ダートも問題なかったですね」
芝か、ダートか……。悩める2歳王者に終止符を打ったのは、この男だった。昨年のホープフルSで騎乗したムルザバエフ騎手と約1年ぶりにコンビを結成したドゥラエレーデは、水を得た魚のように力走。復活の足掛かりを掴んだだけでなく、「これなら来年サウジ、ドバイに挑戦していい」と、今後に進むべき道まで提示してもらう大収穫の一戦となった。
「宝塚記念10着、セントライト記念で8着と芝で頭打ちの感があったドゥラエレーデにとって、今回の結果はことさら大きいと思いますね。次走は未定ですが、ムルザバエフ騎手がオススメしたサウジC(G1)やドバイワールドCデーの参戦も視野に入っていると思います。
それにしてもムルザバエフ騎手が騎乗したドゥラエレーデは走りが違いますね。池添学調教師も、戦前から『(ホープフルSを)勝っているジョッキーですから』と期待を寄せていましたが、できればサウジやドバイ遠征時にもコンビを組めるといいですね」(競馬記者)
今回のチャンピオンズCで自身の進路に光明を見出したドゥラエレーデ。だが、その一方で未だトンネルから脱出できない馬がいる。
皐月賞馬ジオグリフの混迷
最下位に敗れたジオグリフ(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)だ。
ドゥラエレーデがホープフルSを勝った2歳王者なら、ジオグリフは昨年の皐月賞(G1)でイクイノックスらを破ったクラシックホース。当然、将来を嘱望されていた存在だが、この勝利から1年半以上、勝利どころか馬券圏内さえ賑わせない日々が続いている。
結果が出ない中、わずかな光明が差したのが、今年2月のサウジCだった。ジオグリフにとっては初のダート挑戦だったが、勝ったパンサラッサや当時のダート王カフェファラオらには及ばなかったものの4着を確保。1馬身差の5着が前年のチャンピオンズCの2着馬クラウンプライドなら、陣営がダート路線に皐月賞馬復活の活路を見出したのも無理はないだろう。
しかし、続くドバイワールドC(G1)で11着に大敗したジオグリフは、今秋の始動戦となった南部杯(G1)でも9着に惨敗。芝の宝塚記念(G1)にも騎乗していた岩田望来騎手が「個人的には芝のほうが良い印象を受けた」とコメントするなど、状況がより混迷を深めた中で迎えたのが、今回のチャンピオンズCだった。
「今回はW.ビュイック騎手と2度目のコンビで復活にかけたジオグリフでしたが、好位につけたものの最後の直線では早々に後退……。敗戦を悟ったビュイック騎手も途中で追うのをやめましたが、結果は前のアイコンテーラーから5馬身離れた最下位でした。
岩田望騎手には『芝の方が良い』と言われたジオグリフですが、木村調教師は『ダート適性はある』と方針を変えていません。今後はさらに難しい選択を迫られそうです」(同)
ジオグリフと同じドレフォン産駒と言えば3歳馬のサンライズフレイムが注目されているが、4連勝はすべてダート1400m。ジオグリフの今後を示唆するヒントの1つになるかもしれない。