【香港ヴァーズ】「遅れてきた大器」レーベンスティールが参戦!3度優勝の名手はトウカイテイオーの血脈を残せるか

撮影:Ruriko.I

 10日に香港のシャティン競馬場で行われる香港国際競走。4つのG1レースの中でも、香港ヴァーズ(G1)は、芝2400mという中距離王道のレースだ。

 昨年優勝のウインマリリンを含め、日本馬は過去20回にわたって挑戦し、5回優勝している実績あるレース。往年の競馬ファンにとっては、ステイゴールドの引退レースにして悲願のG1制覇の舞台としても知られている。

 そんな相性のいい香港ヴァーズに今年出走を予定している日本馬は以下の通り。

ジェラルディーナ
シャフリヤール
ゼッフィーロ
レーベンスティール

 今年4月のクイーンエリザベス2世C(G1)以来2度目の香港遠征となり、遠征慣れを期待したいジェラルディーナ。ブリーダーズCターフ(G1)でオーギュストロダン、アップトゥザマークら強敵達に続く3着と好走した香港名「大帝」ことシャフリヤール。キャリア12戦で「5-3-3-1」と抜群の安定感を誇るゼッフィーロと好メンバーが参戦する。

「遅れてきた大器」レーベンスティールが参戦!

 その中で注目の若武者がレーベンスティール(牡3歳、美浦・田中博康厩舎)だろう。前走のセントライト記念(G2)では単勝1.6倍の断然人気ソールオリエンスの猛追を振り切り勝利。世代トップクラスの実力を証明した。

J.モレイラ騎手 撮影:Ruriko.I

 前走に引き続き鞍上はJ.モレイラ騎手。短期免許で来日中のブラジルの名手は今年も大活躍。171回騎乗し46勝で勝率26.9%、3着内率は57.3%と絶好調だ。

 そんなモレイラ騎手は同レースで日本馬に過去6回騎乗。2016年にサトノクラウンで、19年と21年にグローリーヴェイズで優勝と、日本馬勝利数の6割をモレイラ騎手が占めている。また6回すべて3着以内で複勝率100%。まさにこの舞台を知り尽くした頼れる相棒だ。

 レーベンスティールの母父は奇跡の復活劇で知られる名馬トウカイテイオー。本馬はパーソロン系という1960~90年代まで日本で繁栄した系統に属している。

 パーソロン系の代表馬としては無敗三冠を成し遂げた父シンボリルドルフ、87年の年度代表馬サクラスターオー、同年代のスターホースであるメジロマックイーンなどだろう。そんな栄華を誇ったパーソロン系は現在ではほぼ断絶している。

 トウカイテイオーの血を何とか残したいと願う有志がクラウドファンディングで資金を調達し、クワイトファインという現在唯一のトウカイテイオー後継種牡馬を供用している。今年は2頭に種付けし1頭受胎となったようだ。トウカイテイオーに思い入れのある関係者やファンの多さがうかがえる。

 パーソロン系を遡ると三大始祖であるバイアリータークに辿り着くが、バイアリーターク系は全世界で0.4%しか存在していない。パーソロン系が隆盛を極めた日本であっても、その後のサンデーサイレンス系・ミスタープロスペクター系・ノーザンダンサー系らダーレーアラビアン系の台頭により、日本ではほんの数頭しかいないほどだ。

 そんな時代にトウカイテイオーの血を引く素質馬が現れたことは貴重なチャンスと言える。レーベンスティールがG1馬となり、種牡馬としても活躍できる将来を期待する声も多い。

 モレイラ騎手が「G1馬になるチャンスを秘めています」と評価するレーベンスティール。G1馬となれば将来的な種牡馬入りも視野に入ってくる。一足先にG1馬となったソールオリエンスやタスティエーラら同世代のエース達に追いつき、偉大な父の血を残せる存在になれるか注目だ。

GJ 編集部

真剣勝負の裏にある真実に切り込むニュースサイト「GJ」の編集部です。これまで作成した記事は10000本以上。競馬歴10年超えの情報通が業界の「しがらみ」を取り払った「本音」や「真実」にも臆することなく、他のサイトとは一線を画したニュース、サービス提供を行っています。

真剣勝負の真実に切り込むニュースサイト「GJ」

Twitter:@GJ_koushiki

Instagram:@goraku.horse.racing0505

関連記事

JRA最新記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 23:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS