怒涛の「引退ラッシュ」を惜しむファンの声!イクイノックス、タイトルホルダー以外にも続々…令和のサイレンススズカに無敗の三冠牝馬の名も
人間社会で「出会いと別れの季節」といわれているのは3月だが、競走馬の場合は12月となりやすい。過去にも1年の総決算的なレースである有馬記念(G1)をラストランの舞台に選んだ馬も多数存在した。
今年引退する馬で最大の注目を集めたのは、何といっても天皇賞・秋(G1)とジャパンC(G1)を連勝したイクイノックスで間違いないだろう。春にもドバイシーマクラシック(G1)と宝塚記念(G1)を制しており、引退後の種牡馬としての価値も十分過ぎるほどに上がった。
暮れのドリームレースで有終の美を飾って欲しいという声も出ていたが、元来の体質的な弱さやレースに出走した際のアクシデントの可能性などを考慮すると、無事に牧場へと戻そうということを優先されても仕方なかったのではないか。
イクイノックスの父であるキタサンブラックとしては、早期の産駒から後継種牡馬が誕生したため、自身の価値を上げただけでなく、血統的な面でも後世に繋げる頼もしい候補の登場といえるだろう。
また、タイトルホルダーも年内での引退が決まった馬だ。こちらは有馬記念をラストランに予定しており、現役最後の雄姿を見せてくれそうだ。
その他にも先週のチャンピオンズC(G1)で4着に敗れたテーオーケインズは、東京大賞典(G1)の出走に可能性は残しつつも、年内での引退は発表済み。一足先に引退が発表されたジュンライトボルトと同じく、昨年と一昨年のチャンピオンズCを優勝した馬が競走生活に別れを告げる。
マイル路線では、ライバル関係にあったソングラインとシュネルマイスターが揃って引退を表明。もしかしたら引退後に両馬の産駒が誕生という、競馬ファンにとって夢のある未来があるかもしれない。
令和のサイレンススズカに無敗の三冠牝馬の名も…
牝馬の大物といえば三冠を制したリバティアイランドの話題で持ちきりではあるが、2020年に史上初となる無敗の牝馬三冠を達成したデアリングタクトも引退が決まった馬である。
さらには、昨年のドバイターフ(G1)と今年のサウジC(G1)を制したパンサラッサの引退も決まった。本馬は芝とダートのG1を両方優勝した二刀流として活躍。他馬との競り合い潰し合いも関係なく快足を飛ばす姿には、「令和のツインターボ」「令和のサイレンススズカ」と評する声も聞かれた。
先述のジュンライトボルト、昨年のジャパンCを優勝したヴェラアズールなどの芝からダート、ダートから芝に転戦して初G1勝利を飾ったタイプも近年のトレンドだった。そのヴェラアズールも引退する。
残るG1馬では、昨年の香港ヴァーズ(G1)の勝ち馬ウインマリリンも有馬記念をラストランに予定している1頭。こうして各馬の名前を列挙していると、例年以上にG1馬の引退が続いている印象だ。
一時代を築いた名優たちの引退を惜しむ声もSNSで多数見掛けるが、ブラッドスポーツといわれる競馬だけに、今後は産駒たちへと夢が引き継がれていく。ニューヒーロー&ヒロインが登場した際、血統表に現役時代を知る父や母の馬名を見つけて思いを馳せてみるのも楽しみのひとつだろう。
まずは、「お疲れ様でした」と労いの言葉を贈りたい。