【香港マイル(G1)展望】ナミュール、ソウルラッシュ、セリフォスら日本馬5頭が「29戦25勝」香港最強マイラーに挑戦!

撮影:Ruriko.I

 10日、香港のシャティン競馬場では、4つのG1レースが開催される。そのすべてに日本馬は参戦するが、最多5頭の出走を予定しているのが香港マイル(G1)だ。

 5頭はいずれも日本を代表するマイラーたち。しかし、その立場はあくまでも挑戦者である。

 断然の主役を務めるのは、地元香港が誇る最強マイラーのゴールデンシックスティ(セ8歳、香港・K.ルイ厩舎)だ。

 通算成績は29戦25勝。香港の歴代賞金王で、2020-21年から3季連続で香港年度代表馬に選ばれている。ただし、3連覇を狙った昨年の当レースは、3歳下のカリフォルニアスパングルに惜敗し、王座から陥落する形となった。

 それでも8歳となった今年は、4月にかけて香港スチュワーズC、香港ゴールドC、香港チャンピオンズマイルとG1を3連勝。今回は7か月半ぶりの実戦となるが、2年ぶり3度目の美酒を味わえるか。

ナミュール 撮影:Ruriko.I

 打倒ゴールデンシックスティの最右翼は、先月のマイルCSで悲願のG1初制覇を飾ったナミュール(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)だろう。

 2歳時からG1級の素質を垣間見せていた大器は、3歳春のチューリップ賞(G2)を制覇。牝馬三冠路線や、古馬になってからはマイル王道路線でも人気を集めたが、ことごとく人気を裏切り、G1ではデビューから7連敗を喫していた。

 ところが秋初戦の富士S(G2)でJ.モレイラ騎手が手綱を取ると、1番人気に応えて快勝。続くマイルCSは騎乗予定だったR.ムーア騎手が当日に落馬負傷したため藤岡康太騎手が急遽代打を務めたが、見事な手綱さばきを見せて勝利を手繰り寄せた。

 2連勝の勢いに乗って、この秋3戦目で自身初の海外遠征を敢行するナミュール。新たな鞍上にW.ビュイック騎手を迎えて、いまだ日本馬が成し遂げられていないゴールデンシックスティの撃破を目指す。

 ソウルラッシュ(牡5歳、栗東・池江泰寿厩舎)もナミュールに負けない実力の持ち主だ。

 この秋は始動戦の京成杯オータムH(G3)で、59kgを背負って快勝。昨年のマイラーズC(G2)以来となる重賞2勝目を挙げた。

 続くマイルCSで自身4度目のG1挑戦を果たしたが、ゴール寸前でナミュールの末脚に屈し、惜しくもクビ差の2着だった。

 前走で鞍上を務めたのはモレイラ騎手。好スタートを切って、道中中団を追走すると、直線でいったんは完全に抜け出した。最後は差されてしまったが、テン乗りにもかかわらずほぼ完璧に立ち回った手腕はさすがだった。

 今回も引き続きモレイラ騎手が手綱を握るが、マイルCS前に池江師は、「まだ選出はされていないけど、次の香港国際競走も見据えて」と鞍上変更の意図を語っていた。まさに今回の大一番を勝つために起用された“マジックマン”。陣営の期待に応えることができるか。

 昨年のマイルCS覇者セリフォス(牡4歳、栗東・中内田充正厩舎)は、休み明けを一度叩かれての上積みが期待できそう。

 3歳にしてマイル王に輝き、今年はマイル界を牽引する立場だったセリフォス。ところが、初戦のドバイターフ(G1)で5着に敗れると、続く安田記念(G1)こそ2着に巻き返したが、秋初戦の前走マイルCSで初めて掲示板を外す8着に終わった。

 2年3か月ぶりに手綱を取った川田将雅騎手は「久々で力みの強い競馬になりました」と、5か月半のブランクを敗因に挙げた上で、「これで次はよくなってくると思います」とコメント。叩き2戦目で戴冠した昨年のマイルCSの再現を狙う。

 2020年のホープフルS(G1)勝ち馬、ダノンザキッド(牡5歳、栗東・安田隆行厩舎)も侮れない存在だ。

 最後の勝利から3年が経とうとしているが、昨年の香港C(G1)を6番人気で2着に好走するなど、G1でたびたび穴をあけている。

 今年の大阪杯(G1)でも10番人気で3着、前走のマイルCSは6番人気で5着だったが、ナミュールとは0秒3差だった。こちらも宝塚記念(G1)以来の実戦を使われ、叩き2戦目で前進するのは間違いないだろう。香港への遠征も今回が3度目と慣れが見込める点も好材料だ。

 日本馬の5頭目は良血ディヴィーナ(牝5歳、栗東・友道康夫厩舎)。前走エリザベス女王杯(G1)は7着に敗れたが、適距離のマイル戦に戻って巻き返しを期す。

 近5走はM.デムーロ騎手が騎乗していたが、今回は弟C.デムーロ騎手に乗り替わる。昨年1月に初コンビを組み、2勝クラスを勝利しており、手は合うはずだ。伏兵の立場で臨む今回は思い切った競馬で大金星を狙える立場だ。

 この他には、前哨戦のジョッキークラブマイル(G2)で重賞3勝目を挙げ、これがG1初出走となるビューティーエターナル(セ5歳、香港・J.サイズ厩舎)、昨年ゴールデンシックスティを退けてG1初制覇を遂げたカリフォルニアスパングル(セ5歳、香港・A.クルーズ厩舎)の地元2頭も虎視眈々と勝利を狙う。

 これまでエイシンプレストン(2001年)、ハットトリック(2005年)、モーリス(2015年)、アドマイヤマーズ(2019年)と、日本馬4頭が勝利している香港マイル。日本馬5頭のいずれかが5回目の勝利を手にすることができるのか。注目の一戦は10日、日本時間17時の発走を予定している。

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