【ホープフルS】サンライズジパング果敢な「芝挑戦」も…複雑な賞金事情とは
有馬記念(G1)が終わり、中央競馬の開催は残り1日となった。2023年の中央競馬のラストを飾るのが、2歳中距離チャンプ決定戦のホープフルS(G1)である。
今年はフルゲート18頭に対して22頭がエントリー。抽選対象の馬が14頭おり、その中にはC.ルメール騎手騎乗予定の素質馬で人気が予想されるレガレイラが含まれるなど、戦前からかなりの混戦ムードだ。
そんなホープフルSに出走予定なのが、JBC2歳優駿(G3)で2着に入り、賞金を加算して出てくるサンライズジパング(牡2歳、栗東・音無秀孝厩舎)である。
同馬は、東京芝1800mの新馬戦でデビュー。このレースでは4着に敗れてしまったが、約3か月の休みを挟んで、阪神ダート1800mの2歳未勝利戦に出走し、2着に4馬身差の圧勝を見せた。
その後、門別競馬場で行われたJBC2歳優駿に出走。惜しくも勝利とはならなかったが、3着のブラックバトラーには8馬身差をつけており、勝ち馬であるフォーエバーヤングは次走の全日本2歳優駿(G1)を制した素質馬である。これからのダート路線で活躍が期待されていた。
にもかかわらず、果敢にも芝のホープフルSに出走する理由の1つには、複雑な賞金事情が考えられる。
複雑な賞金事情とは…
JBC2歳優駿で2着に好走した同馬は収得賞金が「890万円」となったが、これは1勝クラスを勝った馬の収得賞金「900万円」より10万円少ないのだ。
これにより、サンライズジパングは「2勝馬より立場が下のオープン馬」という難しい立場を強いられることとなったのだ。
来年からは南関東競馬を中心に、これまでは春に施行されていたジャパンダートダービー(G1)が秋の開催となりジャパンダートクラシック(G1)に改編されるなど、ダート三冠競走体系が整備される。これまで以上に3歳ダート路線が盛り上がることは間違いない。
このような背景を踏まえても、この中途半端な賞金はかなりの致命傷となってしまう。同馬を担当する平井助手は『東京スポーツ』の取材に「1勝クラスにも出走できないし、オープンでは一番下。2勝馬が出てきたら、一番に除外されてしまいます。この時期の2歳オープンが2勝馬で埋められてしまうことはないけれど、そもそも重賞2着でこれは厳しくないですか? 次の見通しが立たない」という不満も残していた。
そういった背景もあってか、JBC2歳優駿から中2週の強行軍で2歳OP・カトレアSへの出走を陣営は選択。他馬より1キロ重い斤量や厳しいローテーションもあり、15着と結果を出すことはできなかった。
これまでも、この時期に適鞍が少ない関係からか、ダートから当レースに出走する馬はいたが、前走ダートレースに出走した馬の成績は(0-0-0-6)。ここもかなり厳しい戦いが予想されるものの、サンライズジパングの好走と今後の賞金上積みを期待したい。