ジャンタルマンタルに強力ライバル登場か?エコロブルームと「2秒差」覆した大逆転…川田将雅「能力の高さを見せてくれた」も悩ましい鞍上問題

川田将雅騎手 撮影:Ruriko.I

 年始の3日間開催に行われた重賞の掉尾を飾ったシンザン記念(G3)を制したのは、川田将雅騎手が騎乗した3番人気ノーブルロジャー(牡3、栗東・吉岡辰弥厩舎)だ。最後の直線で外に持ち出されると目の覚めるような豪脚を披露。デビューから2戦無敗で初重賞タイトルを手に入れた。

「なかなか大変なところはありましたが、能力の高さを見せてくれたレースだったと思います」

 川田騎手がそう振り返ったように、無難にスタートは決めたものの、道中は各馬が行ったり来たりの慌ただしい展開。すんなり先手を取れたデビュー戦とは異なり、今回はポジション取りに手間取ったこともあって、中団からの競馬を選択せざるを得なかった。

 ただ、リーディングジョッキーを経験した名手は、そんな苦労を微塵も感じさせない見事な進路取りを見せた。本人曰く「あえて外目」選択したのも奏功。手応え十分にゴーサインを出すと、アッという間に先行勢を飲み込んでしまった。

エコロブルームとの間に「2秒」の決定的なタイム差

「3番人気の評価でしたが、個人的には過大評価かもしれないと疑っていました。というのも、勝ったノーブルロジャーとエコロブルームには、ちょうどいい比較材料があったからです。

前走でどちらも11月東京のマイル戦に使われており、このときの勝ち時計でエコロブルームが2秒上回っていただけでなく、上がりも0秒1速かったんです。同じ週の土日で馬場差も誤差の範囲だったため、ノーブルロジャーの逆転は難しいと考えていました」(競馬記者)

 記者の言う通り、エコロブルームの勝った未勝利は、1分34秒8(良)で上がり3ハロンが33秒2。あまりに楽勝だったため、C.ルメール騎手がゴール前で後ろを振り返るほどの余裕もあった。

 これに対し、翌日に行われたノーブルロジャーの2歳新馬は、1分36秒8(良)で上がり3ハロンが33秒3。2着のジーゲルに1馬身3/4差をつけたが、本馬は次走の未勝利で完敗を喫していた馬であり、レースレベルとしても疑問が残る一戦だったといえる。

 単純比較で勝ちタイムで2秒、上がりで上回っていたならともかく0秒1の遅れ。机上の理屈では、エコロブルームがノーブルロジャーを圧倒するパフォーマンスを演じていたのだ。

 そのノーブルロジャーが、2戦目のシンザン記念で持ち時計を2秒3も短縮してしまったのだから、底知れない強さを感じられたのも当然の成り行きだろう。負かしたエコロブルームも、騎乗していたルメール騎手がレース後のコメントで「ポテンシャルは高い馬」と評価していた相手。そう考えるとノーブルロジャーの勝利には価値がある。

ジャンタルマンタル 撮影:Ruriko.I

 ひとつ気になることがあるとすれば、初コンビで重賞勝ちを決めた川田騎手には、昨年の朝日杯フューチュリティS(G1)を優勝したジャンタルマンタルというお手馬もいることだ。

 マイル重賞で結果を残した両馬だけに、近い将来で直接対決が実現する日もそう遠くないはず。パレスマリス産駒という共通点もあるこの2頭。川田騎手の悩ましい鞍上問題も含めて、今後も注目したい素質馬である。

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