ロードカナロア、カレンチャンら「短距離王国」安田隆行厩舎が送り出す2頭…アグリだけではない、「人馬一体」で復活したあの馬

撮影:Ruriko.I

 28日に行われるシルクロードS(G3)は、約2か月後に行われる高松宮記念(G1)に向けての重要なステップレース。G1制覇を目指す素質馬たちが2024年の始動戦を迎える。

 近年は王者不在のスプリント戦線ではあるが、一昔前はロードカナロアとカレンチャンの2頭が2011年のスプリンターズSから2013年の同レースまで国内のスプリントG1を5連覇したこともあった。

 また、この2頭を管理していた安田隆行調教師だが、今年の2月末で定年を迎える。先日は愛知杯(G3)で川田将雅騎手との感動的な師弟タッグによる重賞制覇もあったが、「短距離王国」を築いた同調教師にとってシルクロードSが引退前に迎える最後の1200mの重賞となる。

 ちなみにシルクロードSには安田隆厩舎から2頭が出走予定。25日現在、『netkeiba.com』 で想定2番人気に支持されているアグリもそのうちの1頭だ。

アグリだけではない「人馬一体」で復活したあの馬

サンライズロナウド 撮影:Ruriko.I

 アグリは重賞で堅実な成績を残している有力馬の1頭だが、僚馬のサンライズロナウド(牡5歳、栗東・安田隆行厩舎)にも注目しておきたい。

 今回を含めて6戦連続で騎乗している横山典弘騎手だが、初めて手綱を握ったのは、昨年7月の長久手特別(2勝クラス)であった。

 芝2000mで行われたこのレースは、前半1000mが57.6秒の超ハイペースで大逃げ。2着馬の猛追をクビ差しのいで勝利し、能力の片鱗は見せたものの、同時に乗り難しさを感じさせる内容でもあった。

 3勝クラスに昇級した後、芝1600m戦の長岡S(3勝クラス)では3着に好走するも、その後の西宮S(3勝クラス)では折り合いを欠いてしまい大敗。そんな中で陣営は1400mへの一気の距離短縮を決行した。

 その結果、2走前の六甲アイランドS(3勝クラス)では12番人気ながら4着に好走し、前走の新春S(3勝クラス)で待望の勝利を挙げた。

 そして、この勝利は試行錯誤を重ねた横山典騎手のマジックといえる内容でもあった。それまで逃げる競馬で好走していたパートナーを近2戦で差し馬にモデルチェンジ。後方で折り合いに専念し、直線の爆発力に転換させた技術はさすがといえるものだった。

 サンライズロナウドは、若駒の頃から折り合いを欠いてレースにならないことも珍しくなかった。しかし、昨年から5戦連続の継続騎乗の中で「人馬一体」となって馬を作り直し、新たな面を引き出すという横山典騎手の真骨頂が見られた走りといえる。

 今回初の芝1200m戦になる中でも、安田隆調教師は「距離に関してはジョッキーが大丈夫と言ってくれていますから楽しみです」と、横山典騎手に絶大な信頼を寄せている。

 引退間近ということも相まって勝負気配を感じる中、ここで連勝があってもまったく驚けない。

GJ 編集部

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