【東京新聞杯】「疑惑のゲート」にJRAの説明不足も影響!? 岩田望来「馬に負担をかけて申し訳ない」と謝罪も…マスクトディーヴァの大出遅れに不満続出
レースでの出遅れは珍しくないが、さすがに今回は少々後味の悪さが残った。
4日、東京競馬場で行われた古馬のマイル重賞、東京新聞杯(G3)を制したのは、R.キング騎手が騎乗したサクラトゥジュール。前走の中山金杯(G3)で12着に大敗していた7歳馬ということもあり、戦前の評価は7番人気の伏兵扱いだったものの、得意の府中で末脚を炸裂させての差し切り勝ち。内が伸びる馬場で1枠1番を引いた幸運にも恵まれたことは確かだが、キング騎手の冷静な手綱捌きがあってこその勝利だろう。
先月のアメリカジョッキークラブC(G2)を制したばかりの同騎手は、これでJRA重賞を早くも2勝。ハイペースで勝ち星を量産する手腕に、現在最も乗れる短期免許の外国人騎手の評価を不動にした。
1頭だけゲートが遅れて開くアクシデントが発生
そんなキング騎手と明暗が分かれたのは、断然人気のマスクトディーヴァ(牝4、栗東・辻野泰之厩舎)で6着に敗れた岩田望来騎手だ。
ローズS(G2)をレコード勝ちして挑んだ前走の秋華賞(G1)では、圧倒的な強さで牝馬三冠を達成したリバティアイランドに迫る2着。ローズSで下したブレイディヴェーグがエリザベス女王杯(G1)を快勝し、秋華賞を勝ったリバティアイランドがジャパンC(G1)でイクイノックスの2着に好走したこともあり、マスクトディーヴァの評価も相対的に上がっていた。
しかし、レースではスタート直前にまさかのアクシデントが発生。落ち着きを欠いたパートナーがゲートの前扉に突進し、他の馬よりワンテンポ遅いタイミングで開く想定外の出遅れ。その影響でいきなり3馬身ほどのビハインドを背負ってのスタートとなってしまったのである。
コンビを組む岩田望騎手も何とかリカバーしようと試みたが、淀みない流れのマイル戦では、6着まで追い上げるのが精一杯。勝ったサクラトゥジュールとの着差も3馬身以内だったことを考えると、レース後のコメントで岩田望騎手が「ゲートがすべてです」と悔やんだのも分かる話だ。
その一方で、マスクトディーヴァ1頭だけ他馬よりも遅れてゲートが開いたことについては、アクシデントを目撃した一部のファンからネットの掲示板やSNSなどで「納得がいかない」「何が原因?」「よくわからない」といった不満の声も出た。
一応、JRAのホームページ上では、本件について「発馬機内での御法(突進された)」として岩田望騎手に戒告が出されている。相手は競走馬だけに少々可哀想な処分と感じるのは気のせいだろうか。
「マスクトディーヴァの馬券を購入していたファンにとっては、ツキがなかったといえそうですが、JRAの説明についてはゲートの仕組みなど、もう少しわかりやすく伝えて欲しかった気もします。
構造的に磁石で制御しているようで、スプリングの引力で前扉が開くようです。ですが、今回の場合はマスクトディーヴァが前扉に突進した影響でワンテンポ遅れてしまったと考えられます。
勿論、騎手はゲート内でそういったことが起きないよう、騎乗馬の制御が求められるので、それを怠ったとして岩田望騎手に戒告処分ということなんでしょうね」(競馬誌ライター)
この件については、SNSでも様々な情報が出されており、JRAの説明が不足しているとう意見は競馬関係者から出ていたものの、少なくとも公正競馬がどうこうというわけではなさそうなことは確かである。
因果関係はどうであれ、岩田望騎手の続投については賛否両論の意見が見られた。全国リーディングで上位に食い込んでおり、有望な若手騎手のひとりであることは間違いないが、初重賞勝利前に97連敗を喫したことは有名。これからG1を目指すマスクトディーヴァとしては、不安材料のひとつかもしれない。
「馬に負担をかける競馬をさせてしまい申し訳ないです」「僕の責任ですが、もしまた乗せてもらえるのであればリベンジしたいです」
そう悔やんだ岩田望騎手の願いは陣営に届くだろうか。