【中山記念(G2)】ソールオリエンス「1800mだと少し不安」エルトンバローズ「上位争いは確実」侮ると怖いのは、あの1頭?『現場特選マル秘情報』
今週の日曜メインは伝統の中山記念(G2)。春の中山開催のスタートを祝うかの如く、今年もG1馬2頭をはじめ、出走馬の内10頭が重賞ウイナーと豪華なメンバーが集結した。この芝1800mのG2での結果次第で大阪杯(G1)へ向かうのか、はたまた安田記念(G1)でマイラーとして実力を証明するのか、出走馬たちにとっては大きな試金石としての意味合いも持つ。
そんな大切な1戦へ挑む出走馬の関係者たちから、現場の声がちらほらと伝わってきた。今回はその一部をお伝えしたい。
まずは昨年の皐月賞馬ソールオリエンス(牡4歳、美浦・手塚貴久厩舎)。
皐月賞(G1)制覇後、1番人気に支持された日本ダービー(G1)ではタイム差なしの2着。秋はセントライト記念(G2)から始動し、1.6倍の圧倒的支持を得たものの惜しくも2着。波に乗り切れなかったのか菊花賞(G1)も1番人気ながら3着と苦杯を嘗めた。
有馬記念(G1)では長らく鞍上を務めた横山武史騎手から川田将雅騎手へスイッチ。だがこの手替わりも浮上のきっかけとはならず、古馬の壁に跳ね返されてしまい、8着に終わっている。
「調教量は十分で動きもいいですね。また精神面も成長したようで、以前は強かった前進気勢も少しずつ収まりつつあるようです。どうしても後ろから運ぶタイプのため、開幕週で馬場がいい中山1800mだと少し不安がありますが、手塚師は『その点は能力の高さでカバーできるはず』と強気。『大阪杯に向けていい走りを期待』と自信を覗かせていました」(美浦競馬関係者・A)
今回、手綱を握るのは田辺裕信騎手。美浦の実力者は皐月賞馬を久々の勝利に導けるか。
昨年の中山記念覇者・ヒシイグアス(牡8歳、美浦・堀宣行厩舎)も虎視眈々と上位進出を狙う。
昨年、中山記念後は大阪杯・7着、札幌記念(G2)5着、天皇賞・秋(G1)9着とピリッとしない競馬が続いた。だが、12月に挑戦した香港C(G1)では6番人気ながら3着と激走。復調気配を見せつつある。
「香港遠征明け1戦目となる今回ですが、陣営は経過は順調そのものと語り、以前から指摘されていたトモの緩さも左右のバランスは良化しているため、能力を出せる仕上がりと明かしていました。
懸念事項は天候ですね。土曜は晴れましたけども、中山記念当日は雨予報。道悪では全く振るっていないので当日の馬場状況が鍵となるのでは?」(美浦競馬関係者・B)
今年で8歳となるベテラン。古豪に天気の神様は微笑むだろうか。
ソーヴァリアント(牡6歳、美浦・大竹正博厩舎)は、トラウマを乗り越えられるかに注目が集まる。
ソーヴァリアントにとって中山は一昨年のオールカマー(G2)で心房細動を発症した舞台。復帰戦のチャレンジC(G3)こそ快勝したものの、昨年の中山記念では1番人気を裏切る9着と大敗している。
「管理する大竹師は、『あの時のトラウマが残っているかもしれない。でも6歳といい大人になってきましたし、そういうのも克服してほしいのですが……』と少し心配そうに語っていました」(美浦担当競馬記者X)
週を追うごとに目に見えて動きは良くなっているソーヴァリアントだが、問題は肉体面ではなく精神面にあるようだ。
多くの有力馬が揃った中で、侮ると痛い目にあいそうなのが、イルーシヴパンサー(牡6歳、美浦・久保田貴士厩舎)。
昨年は京都金杯(G3)を勝利し、幸先のいいスタートを切ったものの、その後が続かず、イマイチの成績に終わってしまった。だがここに来て復調気配を見せているという。
「マイルCS(G1)は6着だったものの、外を回りながらも1着とは0.3秒差と惜しい競馬をしています。昨年の不調については『安田記念以降は夏負けがあったので、なかなか調子が戻り切らずにズルズルいってしまった』と話してくれました。
その反省を生かしてか今回は立ち上げからいい感じと聞いています。昨年の中山記念は道中で進路を見失って詰まってしまったのが敗因。あれがなければいい勝負になっていたのではないでしょうか。改めて期待したいです」(美浦競馬関係者・Y)
イルーシヴパンサーは復活の狼煙をあげることができるのか。
父はロードカナロア、母父ディープインパクト、母母エアグルーヴと絵に描いたような良血馬として知られるレッドモンレーヴ(牡5歳、美浦・蛯名正義厩舎)。昨年の京王杯スプリングC(G2)に続く、重賞制覇を目指したいところだが……。
「稽古を見る限り、以前は見せていた気難しい点は鳴りを潜め、集中していい走りをしていたよ。1800m戦は久々ですが、折り合いに苦労することはなさそう。でも陣営は『今後の見通しが立つ競馬になればいい』と、トーンがイマイチだった点が気になるかな」(美浦競馬関係者・Z)
大目標ははるか先?
もう一頭の皐月賞馬ジオグリフ(牡5歳、美浦・木村哲也厩舎)。2年前に大躍進を遂げたここ中山の舞台から復調のきっかけを掴みたいところだが……。
「昨年のサウジC(G1)の後、いい結果を出せていません。前走のチャンピオンズC(G1)で騎乗したW.ビュイック騎手が『ダートは合わない』と言っていたので芝に戻るのはいいと思うんですが……。余裕残しの仕上がりですし、動きにも鋭さが欠けているだけにここで一変は難しいかと」(美浦競馬関係者・Z)
スランプから抜けるのはいつになるのだろう。
今回の中山記念は出走馬16頭中、12頭が美浦勢。だが、長距離輸送を厭わずに、挑んできた栗東勢を軽視するわけにはいかない。
昨年、ラジオNIKKEI賞(G3)、毎日王冠(G2)を優勝し、一気に上がり馬として評価を上昇させたエルトンバローズ(牡4歳、栗東・杉山晴紀厩舎)。マイルCSこそ4着に終わったが、今年は初G1タイトル獲得に向けて、陣営の鼻息は一段と荒い。
「上位争いは確実でしょうね。マイルCSで連勝は止まったものの、その内容は関係者たちから評価されています。
中山記念に向けて、3週続けて西村淳也騎手に乗ってもらい、今年初戦ながらいい仕上がりになっているようです。乗り手の指示に忠実に動ける点が強みで、どんな競馬でもできる堅実さが魅力。開幕週の中山1800mはこの馬の持ち味を最大限に生かせそうです。ここでいい結果を出して、大きいところを狙う弾みをつけたいでしょうね」(栗東競馬関係者・A)
強力ライバル相手に臆することなく力を発揮し、G1制覇に向けて上々の滑り出しを決めることができるか。
一昨年のセントライト記念13着後に去勢を行ったマテンロウスカイ(セ5歳、栗東・松永幹夫厩舎)。その後、一進一退を続けてきたが、昨年末はリゲルS(L)を勝利するなど、ようやく本格化の兆しが見えてきている。
「東京新聞杯(G3)は5着に終わったものの、内を通った馬が上位を占める中でその外からよく追い上げてくれました。立ち回りひとつで、重賞を勝てるレベルの能力を秘めているでしょう。
ようやく去勢の効果が出てきて、心身のバランスが整ってきたようです。前向き過ぎるので折り合いが鍵になりますが、引っ張る馬もいてペースは流れそうなので我慢できると思います」(栗東競馬関係者・B)
悲願の初重賞制覇なるか。
昨年の中山記念で3着に入ったドーブネ(牡5歳、栗東・武幸四郎厩舎)は馬場状態が気になるようだ。
昨年後半には、ポートアイランドS、キャピタルSとふたつのリステッドクラスのマイル戦を制覇。その甲斐もあってか、今年初戦となった京都金杯では4番人気と支持を集めたが、14着と人気を裏切る結果に終わってしまった。
「京都金杯は58.5kgのハンデも痛かったですが、それよりも馬場が問題だった。ドーブネは終始、下を気にしていましたからね。あれで本来の力を発揮できなかったようです。
前走大敗の精神的なダメージもないようで、ここに向けて順調に来ています。着実に力をつけているので改めて期待したいですね。週末は雨の予報もありますが、 綺麗な馬場で走ってくれたらチャンスはあります」(栗東競馬関係者・C)
ドーブネの馬名の由来はドメーヌ・ドーヴネというワインの造り手から。勝利の美酒に酔うことはできるか?
例年同様、有力馬が集い争うこととなった中山記念。春の大舞台に向けて勢いをつけるのはどの馬になるのだろうか? 発走は25日15時45分を予定している。