【徹底考察】ヴィクトリアマイル(G1) ショウナンパンドラ「能力は文句なくNo.1。カギを握るのはマイルへの対応だが『重要』なのは……」
【血統診断】
母キューティゴールドはステイゴールドの半妹という良血。フレンチデピュティ×ディクタス×ノーザンテースト×プリンスリーギフトというサイアーラインは、スピードとスタミナのバランスが良く豊富な成長力を感じさせる。どちらかといえば阪神や中山など直線に坂があり、小回りのコースに向いているように感じるが、そんな馬がジャパンCを勝ったのは、やはり父ディープインパクトのなせる業か。これだけの名血が集まりながら、まだキングカメハメハを始めとしたミスプロ系を配合できるのだから、ショウナンパンドラは繁殖牝馬としても極めて優秀な成績を残す可能性があるといえるだろう。
3歳秋に秋華賞(G1)を勝ったが、むしろ本格化してきたのは昨秋からかもしれない。豊富な成長力で、能力的な問題はまったくなさそうだが、高速決着になりやすい東京のマイル戦がどうか。ディープインパクト×フレンチデピュティという配合は、比較的高速決着に強い配合なので秋華賞を好タイムで制したことも頷けるが、今は歳を重ねて良くも悪くもズブさが出てきている可能性がある。
≪結論≫
昨年のジャパンCで優勝した際、最大のライバルとなるミッキークイーンが8着に敗れているのだから、ここでは能力的に「完全に一枚上手」といえるだろう。ただ、当然ながら必ずしも一番強い馬が勝つわけではないのが競馬だ。最大の課題は、やはり1年ぶりのマイル戦ということになる。昨年のヴィクトリアマイルは9番手からレースを進め、上がり3ハロン「33.5秒」の末脚を繰り出したが8着。前にいたリトルゲルダとベルルミエールを差し、後ろからディアデラマドレに差されたという結果だ。もともとがマイラーでない分、東京が超高速馬場になると、どうしてもスピード不足を露呈してしまうようだ。今年はそういうことがないよう、鞍上の池添謙一騎手も意識的に好位を取るつもりでいるらしいが、果たしてどうか。気性的に大きな問題がある馬ではないが、久々のマイル戦だけに上手く流れに乗りたいところだ。
マイラーほどのダッシュ力がないため、あまり内枠に入ると包まれる可能性がある。かといって、今の東京で外々を回らされるのも苦しい。どの馬にも言えることだが、慣れない舞台で戦う今回のショウナンパンドラにとって、枠順はかなり重要な要素になりそうだ。できれば、真ん中から内よりの枠が欲しいところだろう。
もしも、道中で馬群に包まれたり、ペースについて行けず中団からになると「昨年の二の舞」ということもあり得る。好位から早めに逃げ馬を捕まえに行く競馬が理想的だ。陣営は早くから、この春の目標はここではなく後の宝塚記念と公表している。2週前、1週前の調教で負荷を掛けていた分、今週の最終追い切りは軽めだったが、果たして仕上がりの面ではどうか。前走で14kg増えていた馬体重にも注目したい。