横山典弘「51 馬身差の最下位」も貫いた不動の流儀! 27年ぶりドバイ参戦「無事に終われて良かった」大差負けも賞賛の声続々

横山典弘騎手 撮影:Ruriko.I

日本の総大将ドウデュースが不完全燃焼に終わるも…

 今年も大きな期待を持ってドバイワードカップデーに挑んだ日本勢だったが、勝利したのはフォーエバーヤングのUAEダービー(G2)のみ。ドバイワールドC、ドバイシーマクラシック、ドバイターフ、ドバイゴールデンシャヒーンという主要G1で連対を果たすなど、決して悪くない結果だったが、改めて世界の壁の厚さを思い知らされた。

 そんな中、レース後に日本の競馬ファンから異例の称賛を集めたのが、マテンロウスカイとのコンビでドバイターフ(G1)に挑んだ横山典弘騎手である。

 昨年の有馬記念(G1)を制したドウデュースの始動戦として注目された、今年のドバイターフ。しかし、スタートで後手を踏んだ同馬は、最後の直線でも行き場を失うチグハグな内容。レース後、武豊騎手も「不完全燃焼です」と力負けでないことを強調した。

 他にもナミュールが2着、ダノンベルーガが3着と日本馬が力を見せたものの、勝ったのはフランスのファクトゥールシュヴァル。キャットニップに騎乗していたC.ルメール騎手が最後の直線半ばで落馬するなど、日本の競馬ファンにとってはややショッキングなレースでもあった。

「51 馬身差の最下位」も貫いた不動の流儀

 そんな中、横山典騎手とマテンロウスカイは果敢にハナを切るも、最後の直線入り口であっさりと交わされるとズルズルと後退。1つ前の着順でゴールしたルクセンブルクから実に51馬身3/4差をつけられた最下位でゴールした。レース直後はSNS上などで「競走中止」という“誤情報”が流れるほどの大差だった。

「残念な結果になってしまいましたが、レース後に横山典騎手が『初めての(海外)輸送で体重が減っちゃった』と語っていた通り、マテンロウスカイは決して本調子ではなかったそうです。少しでも危険なシグナルを感じたら、徹底して無理をさせないのが横山典騎手の流儀。大きく離れた最下位は、それだけ鞍上が無理をさせなかった結果の表れでしょう。

また横山典騎手といえば、かつてドバイワールドCでホクトベガが競走中止になって以来のドバイ参戦。あれは、後にホクトベガが『自分の命と引き換えに僕を守ってくれた』と振り返るほどの事故でしたし、それだけに今回の『無事に終われて良かったです』という何気ない言葉にも重みがありますね」(競馬記者)

 また、横山典騎手の「大差最下位」といえば、かつての日本ダービー(G1)が思い出される。

マカヒキの優勝で幕を閉じた日本ダービーだったが…

「無気力」大差負けに批判する声もあったが、その2年後

 2016年の日本ダービー。勝ったマカヒキ、2着サトノダイヤモンドらがゴール前でしのぎを削っているのを余所に、まったくレースに参加しないまま大差の最下位でゴールしたのが、横山典騎手とブレイブスマッシュだった。勝ったマカヒキから約11秒差、1つ前のプロフェットでさえ約9秒差という最下位である。

 約8000頭といわれる同世代の競走馬の中から、わずか18頭しか出走することができない日本ダービー。そんな貴重な1枠を使いながら無気力にも映った内容に、レース直後には横山典騎手を批判する声もあった。

 だが、実はこの日のブレイブスマッシュはレース前から明らかに入れ込んでおり、返し馬すらまともにできない状態だった。さらにスタート直後には、1頭だけコースの外側に逸走……。わずかな時間だったが、横山典騎手はこれ以上の無理をさせなかったのだ。

 レース直後は賛否両論を呼んだ騎乗だったが、これが2年後に大輪の花を咲かせる。

 JRAが発表した2018年1月から3月11日までレースを集計した『ロンジンワールドベストレースホースランキング』で、豪州に移籍していたブレイブスマッシュが世界12位タイの高評価を受けたのだ。これは当時の日本トップタイだった前年のダービー馬レイデオロと、皐月賞馬アルアインに並ぶものだった。

 まさに無事之名馬、ブレイブスマッシュの成長と日本ダービーで無理をさせなかった横山典騎手の決断が無関係でないことは、ダービー後から豪州移籍まで一度も替わらずに同騎手を主戦に起用し続けたブレイブスマッシュ陣営の判断が物語っている。

 今回は厳しい結果に終わったドバイ遠征だったが「(UAEダービーで騎乗したバロンドールと合わせて)2頭とも、とてもいい経験になったんじゃないですか」と穏やかな笑顔を見せた横山典騎手。競馬の酸いも甘いも知る頼もしいベテランが、ドバイ戦線に復帰した。今から来年が楽しみだ。

GJ 編集部

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