【チェアマンズスプリントプライズ(G1)展望】高松宮記念覇者マッドクールVS距離短縮で復活カリフォルニアスパングル!プール調教主体の「異端児」も一発狙う
日本馬が勝利したことのない6ハロン戦
28日、香港のシャティン競馬場ではチェアマンズスプリントプライズ(G1)が行われる。『香港チャンピオンズデー』3競走の中で、唯一日本馬が勝利していないのがこの6ハロン戦だ。
今年は2頭の日本馬が参戦予定だが、やはり注目はマッドクール(牡5歳、栗東・池添学厩舎)だろう。
アイルランド生まれの快速馬は、デビュー3戦目で初勝利を挙げると、4連勝で一気にオープン入り。昨年秋のスプリンターズS(G1)ではママコチャと死闘を演じ、ハナ差2着に健闘した。その後は暮れの香港スプリント(G1)に駒を進めたが、流れに乗ることができず8着に敗れた。
今年は十分に間隔を空けて3月の高松宮記念(G1)へ直行。当日の馬体重が過去最高の540kgで、香港スプリントの時から18kgの大幅増も嫌われたか、6番人気という低評価に留まった。
ところがレースでは好発を決めて好位3番手のインでしっかりと脚を溜めると、最後の直線で内ラチ沿いを力強く伸びた。最後はナムラクレアの強襲に遭ったが、アタマ差封じて先頭でゴール。3度目の挑戦で見事にG1初制覇を遂げた。
今回も引き続き坂井瑠星騎手とコンビを継続。2度目の香港遠征で、昨年12月の雪辱を果たしたい。
G1馬のマッドクールとともに香港勢に挑むのは、重賞未勝利のサンライズロナウド(牡5歳、栗東・安田翔伍厩舎)だ。気性の問題で坂路やコース追いはほとんど行わず、調教はプールが主体という異端児である。
それでも今年1月の新春S(3勝クラス)を勝利してオープンクラスに上り詰めると、続くシルクロードS(G3)で8番人気ながら4着。さらに阪急杯(G3)も9番人気で3着と重賞でも上位争いに加わった。
3月に所属していた安田隆行厩舎が解散したため、息子の安田翔伍厩舎に引き継がれて迎える初戦が海外での初G1。転厩後は栗東CWでも追い切りをこなしているが、香港の地で秘めたる素質を開花させることができるか。
香港勢は8頭が出走を予定
地元の香港勢は8頭が出走を予定しているが、中でもカリフォルニアスパングル(セ6歳、香港・A.クルーズ厩舎)は、2年前の香港マイル(G1)でゴールデンシックスティを撃破するなど一流マイラーとして実績を積んできた。
ところが昨年暮れから不調に陥ったこともあり路線変更。2走前に1400mのクイーンズシルバージュビリーC(G1)に距離短縮で挑むと一発回答で勝利。さらに2年2か月ぶりの1200m戦となったドバイのアルクオーツスプリント(G1)も完勝し、スプリンターとして完全復活の雄叫びを上げた。
香港ジョッキークラブが発表したカリフォルニアスパングルのレーティングは「123」で、これは次点マッドクールの「116」を大きく上回る。G1・3連勝を飾って新たなスプリント王の時代が幕を開けるか。
日本のファンにも知られる香港馬も
マッドクールに次ぐ3位のレーディング「115」を持つのは、ビクターザウィナー(セ5歳、香港・C.シャム厩舎)だ。
今年1月のセンテナリースプリントCでG1初勝利を挙げると、高松宮記念で初来日。ダッシュ力を生かしてハナを切ると、3着に粘り込んだ。
他に絶対に逃げたい馬が不在で、単騎逃げが見込める今回は、おそらく大本命のカリフォルニアスパングルが2番手を追走する展開が濃厚。大本命馬がビクターザウィナーを“かわいがる”ようなら、まんまと逃げ切るシーンがあってもおかしくない。
この他には、昨年12月の香港スプリントでラッキースワイネスの2着に入ったが、その後3連敗中のラッキーウィズユー(セ6歳、香港・F.ロー厩舎)、18戦して掲示板を外したのは1度だけのインビンシブルセージ(セ4歳、香港・D.ホール厩舎)の2頭にも警戒が必要だろう。
今年のチェアマンズスプリントプライズは、カリフォルニアスパングルのスピードが頭一つ抜けた印象だが、マッドクールやビクターザウィナーにも逆転のチャンスは十分ありそう。電撃の6ハロン戦を先頭で駆け抜けるのは果たしてどの馬となるのか。発走は日本時間28日の15時50分を予定している。