【ヴィクトリアマイル】阪神牝馬S勝利のマスクトディーヴァは安定の消し!ナミュールで武豊騎手の4500勝メモリアルに現実味
先週末に行われたNHKマイルC(G1)が3歳マイル王決定戦であるならば、今週末に行われるヴィクトリアマイル(G1)は古馬のマイル女王決定戦だ。過去にウオッカやアーモンドアイ、グランアレグリアらが勝利したが、3連単2070万円という衝撃の高額万馬券が飛び出したことでも知られるレースである。
今年は昨年のマイルCS(G1)を勝利したナミュールや、前哨戦の阪神牝馬S(G2)優勝のマスクトディーヴァ、秋華賞馬スタニングローズといったメンバーが出走するが、最強牝馬リバティアイランドは不在、フルゲート割れの15頭にとどまっている。
それでもこのレースは例年以上に盛り上がりを見せているのではなかろうか。その1つが、レジェンドジョッキー武豊騎手がナミュールに騎乗するからだ。
武豊騎手は地方交流重賞の名古屋グランプリ(G2)をノットゥルノ、エンプレス杯(G2)をオーサムリザルトで勝利し絶好調。そしてJRA通算4500勝まであと2勝の節目を迎えているからだ。
現時点で4498勝、つまりあと2勝で4500勝になるのだが、その4500勝をヴィクトリアマイルで達成するのではないかと、ファンもマスコミも盛り上がっている。とはいえ今週はヴィクトリアマイルまで11頭に騎乗予定で、勝利が期待できる馬もちらほら。ヴィクトリアマイルを前に4500勝を達成してしまうかもしれないが、もし残り1勝というカウントダウンの状況になったとすれば、レースはさぞかし盛り上がることだろう。
ナミュールは昨年のマイルCSを制し、暮れの香港マイル(G1)3着、ドバイターフ(G1)2着と安定した成績を残している。昨年のヴィクトリアマイルは2番人気7着という結果だったが、今年は勢いも完成度も雲泥の差といえよう。
そのライバルとなるのが、現役最強牝馬リバティアイランド世代の牝馬ナンバー2と目されるマスクトディーヴァだ。昨年6月に2勝目を挙げて以降、ローズS(G2)勝利、秋華賞(G1)はリバティアイランドの2着、前走も阪神牝馬Sを勝利と好調。リバティアイランド以外の牝馬には負けていない。そして秋華賞でリバティアイランドを上回る上がりタイムを計測したように、その豪快な末脚は現役屈指、ナミュールにも見劣らない。今回も鞍上がJ.モレイラ騎手となれば、当然のことながら人気になるのは必至だ。
3番手以降は川田将雅騎手のウンブライル、中山牝馬S(G3)勝利のコンクシェル、秋華賞馬スタニングローズ、横山典弘騎手のモリアーナあたりが人気となりそうだが、今年は上位2頭と差があるように思える。となれば、今年のヴィクトリアマイルはナミュールとマスクトディーヴァ、この2頭の取捨選択が馬券的中の大きなポイントとなろう。
まずナミュールを見てみると、3歳時は不安定な成績であったが、4歳秋から本格化。富士S(G2)を1分31秒4の好時計で勝利している。ヴィクトリアマイルと安田記念(G1)は着外であったが、東京マイルは2勝しておりコースに不安はあるまい。そして出走馬唯一のマイルG1優勝馬であり、昨年のマイルCSを急遽乗り替わりとなった藤岡康太騎手で勝利したように、武豊騎手への乗り替わりも不安はない。そもそも全5勝はすべて初騎乗でのもの。むしろプラスといえよう。懸念されていたドバイ遠征の疲れも感じられず、まさに勝利の条件がすべて揃った。ソングラインに続く新マイル女王襲名のレースとなりそうだ。
だがライバルと目されているマスクトディーヴァに関しては不安の方が大きい。初の関東遠征となった2月の東京新聞杯(G3)は、単勝1.9倍の1番人気に支持されながらも、出遅れが影響して6着に敗退。関東遠征とコース相性への不安は払拭されていない。スタートに難がある馬で、G1ではそれが命取りになるのは言うまでもない。
前走の阪神牝馬Sは1分33秒0と勝ち時計も平凡。これは良馬場で行われた過去4回でもっとも遅い。そして11頭立ての少頭数だったこともあり、レベルを疑問視されている。
極めつけは、近年まったく相性の悪い阪神牝馬S優勝馬という実績だ。過去にエイジアンウインズが阪神牝馬Sとヴィクトリアマイルを連勝しているが、現在の時期の芝1600mで行われるようになった2016年以降、阪神牝馬Sの優勝馬はヴィクトリアマイルで【0.1.0.7】と未勝利どころか連対馬も1頭しかいない。
■阪神牝馬S優勝馬のヴィクトリアマイル成績(2016年以降)
2023年 サウンドビバーチェ →5着
2022年 メイショウミモザ →18着
2021年 デゼル →8着
2020年 サウンドキアラ →2着
2019年 ミッキーチャーム →8着
2018年 ミスパンテール →5着
2017年 ミッキークイーン →7着
2016年 スマートレイアー →4着
時期的なものか、コースの違いか、相手関係的なものか、その理由は定かではないが、阪神牝馬S優勝馬はヴィクトリアマイルで過剰に評価してはならない。これは安田記念の前哨戦であるマイラーズC(G2)にもいえることであり、この関西のマイル重賞から東京マイルのローテーションは懸念される要素である。
ナミュールはドバイ遠征からの復帰初戦となるが、これまで前走が海外遠征馬はヴィクトリアマイルを3勝しており、連対率も50%と好成績。実際にウオッカ、ブエナビスタ、ソングラインが勝利している。ノウハウに長けたノーザンファームがバックアップするナミュールに不安はないだろう。
総合的に見ても今年は二強対決ではなくナミュールの一強のほうが正しいのではないか。不安要素が山積みのマスクトディーヴァは“消し”とし、ナミュールからの馬券勝負が好配当を手にする最適解だろう。そして武豊騎手がJRA通算4500勝を同時に達成することができれば、まさに歴史に残るレースとなるに違いない。
レジェンドジョッキー武豊がどんな手綱さばきを見せてくれるのか、今からレースが楽しみだ。